天鐘(5月11日)

昨日の午前中、八戸市の館鼻岸壁を訪ねてみた。薄曇りの穏やかな天気。港の波も静かである。時折車が何台か行き交う以外は人影もなく、ひっそりとしていた▼本来ならば笑顔と歓声があふれていたはずである。新型コロナでやむなく中止になった今年のうみねこマ.....
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 昨日の午前中、八戸市の館鼻岸壁を訪ねてみた。薄曇りの穏やかな天気。港の波も静かである。時折車が何台か行き交う以外は人影もなく、ひっそりとしていた▼本来ならば笑顔と歓声があふれていたはずである。新型コロナでやむなく中止になった今年のうみねこマラソン。楽しみにしていた人も多かったに違いない。現下の状況をご理解いただくしかないが、やはり申し訳なさが先に立つ▼手前みそながら、市民に愛されている大会だと思う。以前、本紙『こだま』に投書があった。走って、飲んで。「うみねこ」は遠方の友との年に一度の再会の場です―。今回は残念ながら、かなわなかったのだろう▼マラソンの魅力を参加者に尋ねると、皆「達成感」と口をそろえる。走っていれば当然疲れるし、リタイアしたくもなる。でも完走したときのあの充実感を味わうと、もう一度走りたくなるのだ、と▼苦しくても一歩一歩ゴールへと向かう。思えば、この感染症との闘いもマラソンのようなものだ。自粛ばかりの毎日にストレスもたまる。だが、途中で投げ出せば元の木阿弥(もくあみ)。辛抱の一日、一日を積み重ねていくしかない▼今は全員がランナーだ。並走する仲間の励ましもあれば、給水ポイントや沿道の応援も力になる。ゴールはまだ先かもしれないが、走り切った後の達成感を全員で。来年の「うみねこ」でまた、元気に再会するためにも。