時評(4月23日)

新型コロナウイルス感染拡大に対応して、テレワーク導入の促進を求める声が高まっている。「人と人との接触を7~8割減らす」という感染対策の目標を実現するには、テレワークや時差通勤は有効な手段だ。企業は対応を迫られている。 だがテレワークの導入に.....
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 新型コロナウイルス感染拡大に対応して、テレワーク導入の促進を求める声が高まっている。「人と人との接触を7~8割減らす」という感染対策の目標を実現するには、テレワークや時差通勤は有効な手段だ。企業は対応を迫られている。[br] だがテレワークの導入には企業の意識改革や通信手段の整備など、環境を整えなくてはならない諸課題も多い。一つ一つ克服して、働き方改革に向けての手段としても、今後企業の間に定着を図ることが必要だ。[br] テレワークは、政府の働き方改革実行計画を受けて2018年2月に策定された導入・実施のガイドラインに基づき企業への導入推進がうたわれたが、広く浸透するまでには至っていない。総務省の通信利用動向調査によると、18年時点でテレワークを導入している企業の割合は19・1%で、導入予定を含めても26・3%だ。[br] 7都府県への緊急事態宣言前後で導入企業は増えているが、それでもパーソナル総合研究所の4月半ばの調査で、実施率は27・9%(正社員のみ)。3月半ばの調査に比べると倍増しているものの、政府が求める「出勤7割減」には程遠い。[br] テレワークは企業にとっても、従業員にとってもメリットとデメリットがある。[br] 働く人にとっては、通勤に充てていた時間を有効に使え、育児や介護の時間を取りやすくワークライフバランスを向上させることができる。自立・自己管理的な働き方ができ、労働意欲の向上にもつながる。[br] 企業にとっては、業務の効率化が図れ、事業運営コストの削減、生産性の向上や非常時のリスク分散を図れるなどだ。[br] 一方で、定着に向けては多くの課題を解決しなければならない。コミュニケーション不足から従業員が抱く孤立感の解消策や、適正な勤務時間管理と人事評価の仕組みづくりが必要だ。[br] さらにサイバーセキュリティー対策、人材の育成方法や、上司・同僚、営業・取引先との連絡や意思の疎通の問題。資料の閲覧・参照、決裁・はんこ文化など仕事のありようの改善も不可欠。[br] 自宅へのパソコン配備や仕事に合わせたシステム構築などの新規投資は、中小企業にとってはハードルの高い対応となる。パーソナル総研の調査では、従業員10人~100人未満の企業でのテレワーク実施企業は16・6%にとどまっている。[br] 乗り越えなくてはならない課題の解決に積極的に取り組み、テレワークの定着を図りたい。