【巨大地震津波想定】住民の不安懸念し浸水図非公表/岩手県内

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による津波浸水想定の公表が、岩手県分は見送られた。東日本大震災後に整備した防潮堤や水門も一切効果を発揮しない―という前提に疑問を抱き、住民不安をあおる事態を懸念した沿岸自治体の意向を受けての対応。県も、地元へ.....
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 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による津波浸水想定の公表が、岩手県分は見送られた。東日本大震災後に整備した防潮堤や水門も一切効果を発揮しない―という前提に疑問を抱き、住民不安をあおる事態を懸念した沿岸自治体の意向を受けての対応。県も、地元への丁寧な説明を国に求めていく方針だ。[br] 津波の高さや浸水域は、満潮時で堤防などが壊れる「最悪のケース」で推計された。3月下旬に国が県と沿岸自治体へ事前説明をした際、この点に強い不満が上がり、公表見送りに至ったという。[br] こうした事情から、公表見送りには県北地方の沿岸自治体も理解を示した。[br] 3月末に延長約2・6キロの防潮堤のかさ上げ工事が完了したばかりの野田村。中村剛総務課長は「公表するのであれば最悪のケースだけでなく、震災後に整備が進んだハードの機能も考慮した想定も出してほしい」と訴えた。[br] 久慈市の田中淳茂消防防災課長は「この想定では、地元が9年間進めてきた復興事業は何だったのか、という話になる」と力を込めた。洋野町防災推進室の担当者も「浸水図の公表は住民を不安にさせる、というのが沿岸自治体の意見」と語った。[br] 沿岸自治体の理解が得られていない点を踏まえ、達増拓也知事は同日、「地元へ十分に説明してもらえるよう、今後も県として国に要請していく」とのコメントを出した。