時評(4月21日)

安倍晋三首相は新型コロナウイルスの緊急事態宣言の対象地域を東京、大阪など7都府県から全都道府県に拡大した。期間は5月6日までのままとした。  緊急経済対策の現金給付では、減収世帯に鍵って30万円との当初案を取り下げ、所得制限を設けず全国民に.....
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 安倍晋三首相は新型コロナウイルスの緊急事態宣言の対象地域を東京、大阪など7都府県から全都道府県に拡大した。期間は5月6日までのままとした。  緊急経済対策の現金給付では、減収世帯に鍵って30万円との当初案を取り下げ、所得制限を設けず全国民に1人当たり10万円を支給する方針に変更した。  政府の対応への世論、与野党、地方自治体からの厳しい批判、切実な要望を受け止め、安倍首相が大胆な政策転換に踏み切ったのは適切だろう。  だが、閣議決定済みの2020年度補正予算案は異例の組み替えが行われ、国会提出は1週間程度遅れる事態に陥った。  安倍首相が記者会見で「私自身の責任で、国民に心からおわびしたい」と、政権の迷走を陳謝したのは当然だ。  危機のただ中で政治指導者のぶれは、国民の不安を増大させるだけだ。安倍首相は深刻に反省し、感染終息へ全力を挙げるべきだ。国民に施策の必要性について丁寧に説明する責任を果たし、協力を求める姿勢がこれまで以上に求められる。  宣言の対象地域拡大を巡っては、愛知県や京都府が追加発令を求め、独自の宣言を出す自治体も相次いでいた。感染者が多い都市部から地方への人の流れも指摘される。  地方では重症化しやすいとされる高齢者が多いのに病床数や医療従事者が少なく、都市部以上に医療崩壊の危険があると専門家は警告している。 宣言の全国への拡大は妥当な判断だろう。大型連休に向けて、都道府県をまたいでの不要不急の帰省や旅行を抑制する効果が期待できる。  新型コロナ特別措置法では、休業要請などの権限が知事に委ねられた。各自治体は国と十分に連携を取り、地域の実情に即した対策を打ち出すべきだ。知事の力量が問われている。  政府与党は10万円支給を5月から実施したい意向だ。生活に困窮している国民の手元に、一刻も早く届けなければならない。与野党が協力し、補正予算の早期成立を図るよう求めたい。  国内での感染者数は増え続けており、感染爆発の瀬戸際にある。政府と自治体にとって、検査と隔離と医療の体制拡充が何よりの急務だ。  新型コロナとの闘いは長期化し、雇用と暮らしの危機は、さらに深刻化するとの懸念が強い。政府は追加の経済対策も準備すべきだ。感染抑止には一人一人が人との接触を減らす努力を続ける必要があることも改めて自覚したい。