五戸漁業(八戸)イカ漁から撤退、漁獲不振の影響顕在化

今季は出漁しないことが明らかとなった中型イカ釣り船「第38宏福丸」=3月24日、八戸港 
今季は出漁しないことが明らかとなった中型イカ釣り船「第38宏福丸」=3月24日、八戸港 
八戸港所属の中型イカ釣り船「第38宏福丸」(176トン)を所有する八戸市湊町の五戸漁業(五戸義隆代表)が、50年以上続けたイカ漁から撤退することが14日、分かった。長引くスルメイカの不漁を踏まえて決断した。同船の処分を終えた後、廃業する意向.....
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 八戸港所属の中型イカ釣り船「第38宏福丸」(176トン)を所有する八戸市湊町の五戸漁業(五戸義隆代表)が、50年以上続けたイカ漁から撤退することが14日、分かった。長引くスルメイカの不漁を踏まえて決断した。同船の処分を終えた後、廃業する意向。漁獲不振の影響が生産現場で顕在化した形だ。[br] 五戸代表によると、同船は竣工から30年以上が経過。マグロ船を中古で入手、イカ釣りに転用し23年目になる。出漁には定期検査に約3千万円かかるほか、修理も必要という。さらに、燃油代や人件費、食料といった経費もかさむ。ある漁業関係者は「中型イカ釣り船の場合、1隻の収入で1億5千万円辺りが損益分岐点の目安」と語る。[br] 今季の同港所属中型船は5月上旬から、昨年より1隻少ない20隻が北太平洋の公海でアカイカ漁に臨む予定。第38宏福丸の乗組員は既に他の複数の船に振り分けられ、乗務することが決まっているという。[br] 同社は先代の清美氏(故人)が中型イカ釣り船で漁を始め、三男の義隆氏が跡を継ぎ2008年に法人化した。事業はイカ漁1本で、今後は船の処分を終えた後に廃業するという。[br] 五戸代表は「(ここ数年は)今まで経験したことのない大不漁」と指摘。その上で「アカイカで必ずしも黒字になるとは限らない。幸い借金もないので、迷惑を掛ける前に“店じまい”したい」と話した。[br] 八戸市水産事務所によると、同港で大中型イカ釣り船による昨季(2019年5月~20年3月)の船凍スルメイカとアカイカの水揚げは数量8019トン、金額41億4840万円と過去10年で最低に終わった。スルメが822トン、8億7794万円と激しく落ち込んだ半面、アカイカは7197トン、32億7046万円と大きく伸びた。今季は出漁しないことが明らかとなった中型イカ釣り船「第38宏福丸」=3月24日、八戸港