昨年9月8日に投開票が行われた岩手県議選久慈選挙区(定数2)で、有権者に電話で投票を依頼した運動員に報酬を支払ったとして、盛岡区検は9日までに、公選法違反(買収)の罪で初当選した岩城元氏(47)の父で元県議の明氏(72)ら2人を略式起訴し、盛岡簡裁は罰金の略式命令を出した。略式起訴と略式命令は共に7日付。陣営関係者によると、2人はそれぞれ40万円を即日納付した。[br] 略式起訴されたのは明氏と、陣営の事務を担当した久慈市の70代男性。昨年11月に久慈署が同法違反容疑で2人を書類送検し、盛岡地検が捜査していた。[br] 起訴状によると、2人は共謀し、選挙期間中、有権者に電話をかけて投票を依頼した運動員5人に対し、投開票の2日後の昨年9月10日に選挙事務所で現金計6万9300円を渡したほか、別の2人にも計2万1700円を渡そうとしたとされる。[br] 選挙違反事件では、候補者と一定の関係にある人物が、買収など悪質な選挙違反で刑が確定した場合、候補者本人の関与がなくても連帯責任を問う「連座制」という制度がある。元氏に連座制が適用されるかどうかについて、同地検は「法律上の要件を総合的に判断した結果、連座制の対象ではない」とした。[br] 報酬を受け取ったとされる5人も同法違反容疑(被買収)で書類送検されたが、同地検は7日付で不起訴処分とした。[br] 公選法では、一部の単純労務は定められた上限内で報酬が認められているが、電話で有権者に投票を呼び掛ける行為はボランティアが原則で報酬の支払いを禁じている。[br] 9日の取材に明氏は「電話の他にビラの証紙張りなどもお願いしたため、日当を支払った」と公選法の認識不足だったと説明。[br] 元氏は自身の関与を否定した上で、「選挙事務は任せっきりだった。チェック体制の甘さを反省している」と謝罪し、議員活動は続ける意向を示した。