八戸港所属で国内唯一の大型イカ釣り船「第30開洋丸」(349トン)が4日、北太平洋の公海でのアカイカ漁に向け出港した。全般的な不漁にあえぐ“ハマ”にあってアカイカは近年、水揚げが伸びている数少ない有望株。船を所有する開洋漁業(八戸市)の河村桂吉社長は「好漁場を見つけ成果を上げてほしい」と期待を寄せる。[br] 国の研究機関の委託を受け、2年にわたり実施した北太平洋での調査を踏まえ出漁。早ければ1週間ほどで漁場に到着、操業に移る。河村社長は、胴体や耳など主要部位だけでなく、新たに触腕も船凍品に育てたい意向だ。[br] 「調査の実績と熟練漁労長の勘を組み合わせ、いい漁場を見つけてほしい」と期待を寄せる河村社長。5月中旬以降は中型イカ釣り船も同海域に向かう見込みで、「中型船とも情報共有できれば」と話した。[br] この日は開洋丸が午後1時に、同港第3魚市場付近の岸壁を出港。乗組員の家族や漁業関係者ら約30人が手を振って見送った。[br] 八戸市水産事務所によると、同港の大中型イカ釣り船による昨季(2019年5月~20年3月)の船凍スルメイカとアカイカの水揚げは、数量が計8019トン(前年度比12%減)、金額は計41億4840万円(20%減)と、過去10年で最低まで落ち込んだ。[br] ただ、内訳を見るとスルメイカが822トン(84%減)、8億7794万円(73%減)と過去10年間で最少に終わった半面、アカイカは7197トン(78%増)、32億7046万円(71%増)と最多を記録。数量、金額ともアカイカがスルメイカを逆転した。[br] 19年春夏漁では、中型船の大半が2回にわたり北太平洋に展開した。国内でアカイカの水揚げは同港だけで、年々漁獲量が減少するスルメイカの代役として存在感が高まっている。