三沢―八戸沖の通称・北浜海域で行われているホッキガイ漁が三重苦に見舞われている。しけで漁に出られない日が多いのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で消費が落ち込み、出漁日に制限も。価格面では2月までの1キロ当たりの単価が過去5年間の平均に届かない。漁獲数量が減り、今季の三沢市魚市場の漁獲金額は統計のある1996年度以降、過去最低となるのが確実だ。[br] 三沢漁港には、三沢市漁協と百石町漁協(おいらせ町)の漁船がホッキガイを水揚げする。資源管理のため漁期を12月から翌年3月までの4カ月間に設定。水揚げ数量も制限している。[br] 昨季は、供給過剰で漁獲金額が9980万7690円と1億円を割り込んだ。価格安定を図るため、三沢市から八戸市の沿岸4漁協で構成する「北浜海域ほっき貝資源対策協議会」(会長・木村慶造百石町漁協組合長)は今年1月から出漁日を週4回とした。[br] しけで出漁できない日が多い中、新型コロナウイルス感染拡大の影響が追い打ちを掛けた。消費自体が落ち込んだため、3月からは出漁日を週2回に制限した。同協議会事務局を務める百石町漁協の平野政儀参事は「魚全体に言えることだが、宴会がなくなり、需要が減った」と強調する。[br] 昨季は4カ月間で67日間出漁したのに対し、今季は3月19日までで44日間。市場に出回る数量は限られたが、価格はそこまで上向かず、2月までの平均単価は280円と、14~18年度の平均294円を下回る。[br] 2月までの累計数量は前年同期比80トン減の243トン。金額は1108万円減の6810万円で、過去最低だった2011年度の9548万円を下回る見通し。[br] 三沢市の漁業者は「価格が安いし、漁にも出られない。ホッキガイの収入は昨季の半分程度だ」と嘆く。[br] 3月に入り、3回目の漁となった19日は約6・5トンの水揚げがあり、1キロ当たりの高値は484円だった。市漁協は「1週間ぶりの入札だったので高い値が付いた」とした。