【震災9年】ペットの防災も考えよう 青森県、避難所マップ作り

八戸市防災訓練で行われてる「ペット避難所」の様子。避難の際に必要なケージや簡易トイレなどが展示されている(動物愛護支援の会八戸提供)
八戸市防災訓練で行われてる「ペット避難所」の様子。避難の際に必要なケージや簡易トイレなどが展示されている(動物愛護支援の会八戸提供)
東日本大震災から9年。災害に対する備えが各方面で進む中、「ペットの防災」に関する課題は多い。環境省は震災で多くの動物の命が奪われたことをきっかけに、災害時のペット救護対策に関するガイドラインを策定。青森県は民間企業と協同で、ペットと一緒に駆.....
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 東日本大震災から9年。災害に対する備えが各方面で進む中、「ペットの防災」に関する課題は多い。環境省は震災で多くの動物の命が奪われたことをきっかけに、災害時のペット救護対策に関するガイドラインを策定。青森県は民間企業と協同で、ペットと一緒に駆け込める避難所のマップ作成を進めている。人と動物の共生社会実現のために何が必要なのか、震災当時を振り返りながら考える。[br] 「無理な預かりをしていた」。八戸市で行き場のなくなった動物の譲渡や保護などの活動を続けている「動物愛護支援の会八戸」の中村由佳共同代表は、こう当時を振り返る。[br] 震災後、飼い主だけが避難し、ペットが家に残されたまま流されてしまったケースや、多頭飼育をしていたため連れて逃げることができなかったケースがあった。何とか一緒に避難所へ逃げてきても、車での暮らしを余儀なくされた人もいた。[br] 同会では、被災者からの相談を受け、ペットの一時預かりを行ったが、保護した動物を管理するスペースを十分に確保できず、動物の感染症が発生。動物病院に行っても「ワクチンが足りない」と断られ、死んでしまった動物もいた。[br] 震災翌年からは、八戸市の要請で市の防災訓練に参加。災害時に活用できる簡易ネコトイレの作り方を紹介したり、災害時に用意すべき道具を展示するなどして、ペット防災の啓発を行っている。[br] 中村さんは「自分の身もペットも、全部自分で守るという意識を持つことがペット防災の一歩になる」と強調。ワクチン接種やしつけなど日頃からの適切な飼育の重要性を説いている。[br] 一方、環境省は2013年、大規模災害時のペット救護対策ガイドラインを策定し、一緒に逃げる「同行避難」の周知に努めている。[br] しかし、ペット保険事業を展開するアイペット損害保険(本社東京)が今月5日に発表した「ペットのための防災対策に関する調査」によると、災害時に飼い主はペットと一緒に避難しなければならないという原則を知っている人は17・3%にとどまった。[br] 青森県は昨年10月、アイペットと動物愛護に関わる協定を締結。動物殺処分数削減の取り組みのほか、災害時に同行避難が可能かどうかを示した避難所マップを作成することにした。[br] マップはインターネット上での利用を想定。地図上に表示された避難所をクリックすると、同行避難の可否のほか、犬や猫の受入可能数が表示される。運用は4月以降の予定だ。[br] 県保健衛生課の担当者は「飼い主には、いざという時のためにマップを確認してほしい。動物を飼っていない人も(動物関連のトラブルを避ける意味で)避難時の参考にしてもらえたら」と話し、「避難所を開設する自治体側も、同行避難を想定した仕組みを考えていかなければならない」とした。八戸市防災訓練で行われてる「ペット避難所」の様子。避難の際に必要なケージや簡易トイレなどが展示されている(動物愛護支援の会八戸提供)