荷さばきA棟、7年間で赤字4億円超

稼働が低迷する荷さばき施設A棟=4日、八戸市第3魚市場
稼働が低迷する荷さばき施設A棟=4日、八戸市第3魚市場
稼働が低迷する八戸市第3魚市場荷さばき施設A棟について、小林眞市長は4日の市議会定例会一般質問で、供用開始以降の2012~18年度の収支が7年間で、計4億1756万円の赤字になったことを明らかにした。一方、具体的な改善策として、対象魚種のサ.....
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 稼働が低迷する八戸市第3魚市場荷さばき施設A棟について、小林眞市長は4日の市議会定例会一般質問で、供用開始以降の2012~18年度の収支が7年間で、計4億1756万円の赤字になったことを明らかにした。一方、具体的な改善策として、対象魚種のサバ以外への拡大や高度な衛生管理のPRなどに取り組む姿勢を示したが、既に検討または実施してきた事業が中心で、目新しさに欠け、実効性は不透明だ。[br] 市によると、A棟運用に伴うトータルの支出は運営経費と専用タンク購入など臨時費を合わせ4億2100万円。これに対し、市場使用料などの収入はわずか344万円にとどまる。[br] 19年度のA棟での水揚げは383トン。市が稼働率アップに向け策定した改善計画(17~19年度)の期間中では最低に終わり、赤字はさらに膨らむ見通しだ。小林市長は不振の要因として、水揚げを想定していなかったイワシを混獲した漁船が多かったことや、記録的なサバの不漁などを挙げた。[br] 今後は20年度に行う事後評価を踏まえ、新たな改善計画を策定する方針。サバ以外にイワシも取り扱うことや、流通大手と連携した新たな需要の掘り起こしなどに取り組む考えを示した。ただ、対象魚種の拡大はこれまでも提案されていたもので、イワシは大量のうろこの処理などが課題になるという。[br] A棟は世界で最も厳しい欧州連合(EU)の衛生管理基準に対処する国内唯一の施設として整備されたが、稼働が低迷。同計画を巡っては、国から改善が見込めないと判断された場合、整備に費やした補助金5億5千円の返還を求められる可能性がある。[br] 小林市長は答弁で、赤字が続く現状を「真摯(しんし)に受け止めている」としながらも、「EUに対応した市場は今後、増加すると考えており、A棟の運用継続は水産業の高度衛生化、ひいては日本の水産業の振興に結びつく」と強調した。稼働が低迷する荷さばき施設A棟=4日、八戸市第3魚市場