天鐘(3月2日)

ひな祭りは別名「桃の節句」と言われる。北国ではまだ早いが、旧暦3月3日は桃の花が咲く季節であるのに由来し、付いたという。現代では女の子の健やかな成長を願う行事だが、元々は厄払いの意味があった▼起源は古代中国の風俗。3月初めの巳みの日に当たる.....
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 ひな祭りは別名「桃の節句」と言われる。北国ではまだ早いが、旧暦3月3日は桃の花が咲く季節であるのに由来し、付いたという。現代では女の子の健やかな成長を願う行事だが、元々は厄払いの意味があった▼起源は古代中国の風俗。3月初めの巳みの日に当たる「上巳(じょうし)」に水辺に集まって禊(みそぎ)をし、おはらいした習わしに端を発する(『雛祭り 雛めぐり』文化出版局)。日本に伝わり、平安時代には紙で作った「人形(ひとがた)」で体を撫(な)でて身の汚れを移し、水に流すように▼後にひな人形に発展、ひな祭りに定着していく。「這子(ほうこ)」という形代(かたしろ)を幼い子供の身辺に置き、代わりに災厄を受けさせて流す風習もあった。古来、厄を恐れた人々の無病息災への深い願いが込められている▼世界中を覆う厄になってしまうのか。新型肺炎の感染拡大が止まらない。全国一斉休校、イベント自粛などの緊急措置が発せられるが、見えない脅威への不安は増す一方だ▼「瀬戸際」の最中、明日はひな祭り。出掛ける場所が少なくなった子供たちにとって、家の中で楽しむ貴重な行事である。今年は本来の意味が一層強まりそう。子供も大人も、女子も男子も息災でいられるようにと▼今回のウイルス発信源となった中国。この国では昔から桃の木には邪気をはらう、延命長寿の力があると信じられていた。世界的な危機が早く終息するよう、桃の節句に重ねて願う。