新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)拡大で列島全体に活動自粛ムードが広がる中、新卒採用の会社説明会が1日に解禁され、2021年卒業予定の大学生・大学院生の就職活動が本格的に始動した。就職情報会社は合同説明会を相次いで中止。多くの企業はインターネット上で学生にアピールする方法に変え、自社について説明する様子を生配信したり、サイトに紹介動画を掲載したりするなどした。一方、青森県内では説明会を延期する企業もあり、学生優位の「売り手市場」や東京一極集中を背景に、出遅れによる採用活動への影響を懸念する。[br] 合同説明会を取りやめたのはリクルートキャリアやマイナビ、ディスコなど。出展予定だった中堅企業の人事担当者は「学生との出会いが減る。大手はネットでも人が集まるかもしれないが、うちのような会社には痛手」と嘆く。[br] マイナビは1日、企業担当者がネット上の生配信で自社を紹介するイベントを開催し、約260社が参加した。視聴の予約をした学生は約6万5千人で、昨年比2・5倍増という。[br] 一方、就職情報会社の学情は東京都内や大阪市で合同説明会を決行。入場時には参加者の体温を確認し、マスク着用やアルコール消毒を呼び掛けた。[br] 青森県内では会社説明会を先送りにする動きも。八戸市に拠点を置く製造業者は、3月上旬に予定していた説明会を下旬に延期。人事担当者は「非常時なので仕方ないが、計画を組み直す必要がある。学生も困惑しているのでは」と話す。[br] 別の企業の担当者は「学生の東京志向が続く中、スタートで出遅れれば、人材の首都圏流出が加速してしまう」と不安を口にする。[br] 今回は経団連に代わり、政府が初めて日程のルールを主導。3月に説明会、6月に筆記試験や面接の選考活動、10月に内定解禁と定めている。ただ、多くは既にセミナーやインターンシップを通じて学生と接触し、中には選考を始めている企業もあり、ルールは事実上形骸化している。[br] 八戸市の誘致企業の人事担当者は「首都圏ではインターンシップの際に“内々定”を出し、大学3年の夏から囲い込みをしている企業も多いと聞く。優秀な人材の獲得競争が激化し、地方に拠点を構える企業は採用活動が難しくなる」と苦しい現状を明かした。