天鐘(2月25日)

「やりくり」上手な人は生活上手。家計が苦しくても、その中で何とか回す。家族のための食事も、冷蔵庫の中に残っている「あり合わせ」で作るのはお手のもの▼新しく買い足さなくてもいい。今ある食材を生かした調理方法を考え、美味しく使い切る。限られた中.....
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 「やりくり」上手な人は生活上手。家計が苦しくても、その中で何とか回す。家族のための食事も、冷蔵庫の中に残っている「あり合わせ」で作るのはお手のもの▼新しく買い足さなくてもいい。今ある食材を生かした調理方法を考え、美味しく使い切る。限られた中で工夫を楽しむ人は、どんな局面でもやりくりできる。この知将が教えた▼ヤクルトなどで監督を務め、球界に多大な功績を残して先日亡くなった野村克也さん。その野球哲学は、球界のみならず各界の組織論に通じるものがあった。野村さんの著書に「やりくり」という言葉が何度も出てくる▼幼くして父親を亡くし、新聞配達をして家計を助けた体験から「貧乏の中に明るさを探した」という。後に資金豊富な巨人に対抗心を燃やすようになった原点に思える。「監督の仕事とは、与えられた戦力をやりくりしながら闘うこと」(『野村セオリー絆』)。確固とした持論があった▼組織というのは優れた人間ばかり集めたからといって機能するものではない。これも口癖。「適材適所」を徹底すれば個々の才能が伸び、組織は強くなる。だからいつも選手一人一人をじっと観察していた▼何かと組織で「生産性」「効率性」が唱えられがちな昨今。「人間は誰でもなんらかの才能を与えられて生まれてくる」。野村さんの言葉で思い起こされる。何か大事なことを忘れていないか。