温暖化がサケ回遊に影響、海洋研究開発機構むつ研究所が報告会

講演する北海道大の帰山雅秀名誉教授=21日、むつ市の下北文化会館
講演する北海道大の帰山雅秀名誉教授=21日、むつ市の下北文化会館
北海道大名誉教授で水産学博士の帰山(かえりやま)雅秀氏が21日、むつ市で開かれた海洋研究開発機構むつ研究所主催の報告会で講演。地球温暖化で日本からサケの適水温エリアが離れ、幼魚のオホーツク海移動が難しくなっている現状を紹介した。 春に川に放.....
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 北海道大名誉教授で水産学博士の帰山(かえりやま)雅秀氏が21日、むつ市で開かれた海洋研究開発機構むつ研究所主催の報告会で講演。地球温暖化で日本からサケの適水温エリアが離れ、幼魚のオホーツク海移動が難しくなっている現状を紹介した。[br] 春に川に放流されたサケは沿岸に2、3カ月滞留し、初夏にオホーツク海に向かう。1年目は北太平洋西部で越冬し、翌年からベーリング海とアラスカ湾を行き来しながら成長し、3、4年後に放流した川に戻ってくる。[br] サケは最適水温が8~12度、生存可能な適水温が5~7度。帰山氏は、地球温暖化でこれらのエリアが北太平洋の北方に移動し、日本からも離れてきている状況を明かし、「わが国のサケの回遊ルートが遮断されかかっている」と指摘。昨年、全国的に不漁だった理由については「2016年の親潮が弱く、低回帰率につながった」と説明。今後の漁獲量については「来年、再来年は増えるだろうが、どれくらいかは予測できない」と述べた。[br] サケは沿岸での滞留期間が長いほど生残率が高い。帰山氏は三陸沿岸の平均水温データで16年4~6月が1980年以降、最も高く、滞留期間が最短だったと紹介。さらに親潮が弱かったことで、餌となるニホンウミノミなども少なかったとみられるという。十分な滞留期間確保に向けては、稚魚の適期放流を挙げ、放流時期を見直す必要性も訴えた。講演する北海道大の帰山雅秀名誉教授=21日、むつ市の下北文化会館