お囃子に魅せられて 十一日町えんぶり組・宗前さん

えんぶりだけでなく、八戸三社大祭や神楽でもお囃子を担当する名手の宗前真さん=18日、八戸市
えんぶりだけでなく、八戸三社大祭や神楽でもお囃子を担当する名手の宗前真さん=18日、八戸市
八戸市で開催中の八戸えんぶり。摺(す)りや舞いの下支えをするお囃子(はやし)は、市民にとって春の訪れを感じさせる心地よい音色だ。十一日町えんぶり組の宗前真さん(57)は、えんぶりのほかに、八戸三社大祭や神楽の囃子方も務める名手として知られる.....
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 八戸市で開催中の八戸えんぶり。摺(す)りや舞いの下支えをするお囃子(はやし)は、市民にとって春の訪れを感じさせる心地よい音色だ。十一日町えんぶり組の宗前真さん(57)は、えんぶりのほかに、八戸三社大祭や神楽の囃子方も務める名手として知られる。囃子の魅力に気付いたのは30歳になるころ。遅咲きではあるが、それ以降、美しい笛やこぎみ良い太鼓の響きが耳から離れることなく、現在も理想の音色に向けて鍛錬を重ねる。「どれが一番好きかは決められないけど、自由な感じのあるえんぶりは毎年とてもわくわくする」。[br] 海に臨む同市鮫町の生まれ。地元に三社大祭に参加する山車組、えんぶり組はなく、見たことはあっても、どこか縁遠い存在のように感じていた。[br] 地元で就職し、29歳の時、勤めていた会社の新年会に一斉歯打ちで有名な法霊神楽が出演した。これまでも何度か見たことはあったが、この日はいつもと違って見えた。中でもくぎ付けとなったのが、見事な舞いを引き出すお囃子。「自分もやってみたい」と思い立ち、即座に参加を決めた。[br] 師匠方に習い、お囃子の楽しさを覚えた。仕事を終えては一人で海へ向かい、周囲を気にするなく練習に打ち込んだ。[br] それから3年がたち、声を掛けられるがまま、えんぶり組にも参加。当時、途絶えていた小中野えんぶり組の45年ぶりの復活を演奏で支えるなど、お囃子の奥深さをさらに探究した。[br] その後、現在所属する十一日町に移り、町内に山車組もあることから、お囃子だけでなく、山車制作にも参加。さらに、地元の鮫神楽にも声を掛けられ、活動の場は一気に広がった。[br] 仕事を終えてそのまま練習に行くことも多く、自宅に帰れないこともしばしば。「正直、手を広げすぎたなと思うこともある」と笑う。ただ、「全体の音量や間やタイミングなどを考えるようにもなり、それぞれの経験がえんぶりにも生きている」と実感する。[br] 宗前さんには求める笛の音色がある。10年ほど前に亡くなった師匠が奏でた透き通るような響きだ。「誰が聞いてもきれいな音だと思われる音にしたい。それはまさに師匠の音色だった」。これからも“理想”を追い掛けていく。えんぶりだけでなく、八戸三社大祭や神楽でもお囃子を担当する名手の宗前真さん=18日、八戸市