新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種を巡り、都道府県庁がある47市区のうち、約66%に当たる31市が「7月末完了」との菅義偉首相発言を受け、接種計画を前倒しするなどの変更をしたか、検討していることが15日、共同通信の調査で分かった。47市区のうち5市は7月末に完了できないと回答。38市区は可能としたが、そのうち10市は「国の支援があれば」などの条件付き。人手不足の訴えも16市に上った。[br][br] 政府は12日、全1741市区町村の86%が7月末に完了する見込みとの調査結果を発表した。共同通信調査では、課題を抱える自治体が少なくないことが分かる。首相の意向に合わせるため、実現性が低いまま「7月末完了」としている可能性もあり、接種事業が政府の狙い通りに進むかどうか見通せない。[br][br] 調査は今月10~14日、47都道府県庁所在地の市区(東京は新宿区)を対象に実施した。[br][br] 接種計画を変更または検討中の31市は盛岡、松山、宮崎など。甲府は「首相発言を受け、9月中から7月完了にした」と回答。鳥取も国の要望で接種回数を当初予定の週8千回から週1万3千回に増やして前倒しするという。変更なしは青森を含む15市区で、残りは無回答。[br][br] 7月末完了を実現できるとした38市区のうち10市は「国の支援がないと困難」(札幌)、「現状では難しく、接種する医師を増やす必要がある」(千葉)との条件を付けた。他にも「完了を目指す」(さいたま)や「やるとしか言えない」(神戸)など努力目標や決意表明に似た声もあった。[br][br] 7月末に完了できないと回答した5市は福島、福井、静岡、広島、那覇。医療従事者が足りないとの理由が多く、終了時期は、広島が10月上旬、福島は未定、残る3市は8月。[br][br] 高齢者の後に続く64歳以下に接種券を送る時期も尋ねた。「見通せない」が28市で最多。山形、前橋など6市が6月、福島や長崎など8市区が7月、福岡市は6月か7月とし、2市が8月。残りは無回答など。