自転車保険の加入・更新、忘れないで 「努力義務」の青森県条例、効果に課題

自転車にTSマークを貼る三浦健至理事長。保険加入の重要性を訴える=4月下旬、八戸市
自転車にTSマークを貼る三浦健至理事長。保険加入の重要性を訴える=4月下旬、八戸市
自転車の運転者が歩行者を死傷させる事故を起こし、多額の賠償命令が下る事例が全国で相次いでいる。これを受け、青森県は3月、運転者の損害賠償責任保険の加入を努力義務とする条例を制定。7月1日の完全施行を前に県内の自転車販売店は、車両点検と賠償責.....
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 自転車の運転者が歩行者を死傷させる事故を起こし、多額の賠償命令が下る事例が全国で相次いでいる。これを受け、青森県は3月、運転者の損害賠償責任保険の加入を努力義務とする条例を制定。7月1日の完全施行を前に県内の自転車販売店は、車両点検と賠償責任補償がセットとなった「TSマーク」の取得を呼び掛ける。ただ、取得をしても有効期限が1年のTSマークを更新する人は少ないのが実態。条例には罰則規定もなく、加入促進や実効性を高めるには、課題が残っている。[br][br] 県警によると、県内の自転車が関係した事故発生件数と死傷者数は減少傾向にあるが、全国では近年、自転車の運転者が衝突した歩行者を死傷させ、多額の賠償命令が下る事例が続出している。約1億円の損害賠償を請求されたケースもあった。[br][br] 自転車事故による損害をカバーする代表的な保険がTSマークだ。車両点検に加え、賠償責任補償や傷害補償、被害者見舞金が付帯される保険で、賠償責任補償は最高で1億円が支払われる。誰でも加入可能で、料金は1500~2千円。加入後は1年ごとの車両点検と、更新が必要となる。 しかし、加入はしても、更新する人は少ないという。自転車販売店のYSP八戸を経営する、県自転車軽自動車商業協同組合の三浦健至理事長は「八戸市内では新車購入時に約8割がTSマークを付けるものの、更新に訪れるのは2割程度」と説明し、保険に対する意識の低さを嘆く。[br][br] 実際、昨年4月に通勤用で自転車を購入した同市の男性会社員(25)は「保険の有効期限が切れていたが、仕事が忙しくて更新に行かなかった」とし「自動車と比べて自転車の保険への意識は低くなっていた」と話す。[br][br] 一方、交通安全活動の一環で加入を促す八戸署の樋口敬志交通官も「条例が努力義務ということもあり、市民の意識を向上させるのは大変だ」と指摘し、罰則がない条例の周知の難しさを漏らす。[br][br] 利用者全員への周知には限界があるものの、各自転車販売店では、TSマークに関するパンフレットを配布したり、更新時期を通知するはがきを送付したりと普及に向けて対応する。[br][br] 三浦理事長は「TSマークは保険だけでなく、点検で安全が証明された自転車に乗れる利点がある。ぜひ取得、更新をしてほしい」と強調する。自転車にTSマークを貼る三浦健至理事長。保険加入の重要性を訴える=4月下旬、八戸市