青森労働局は10日までに2020年の青森県内の労働災害発生状況(確定値)をまとめた。死者は9人(前年比7人減)と減少に転じたが、休業4日以上のけがを含む死傷者数は1288人(18人増)と、過去10年で最も多かった12年の1310人に次ぎ、ワースト2位だった。中でも、50歳以上の高年齢層の死傷者が全体の約6割に上るなど高齢化が要因で増加傾向にあり、対策が求められている。[br][br] 高年齢層の死傷者は749人(41人増)で、全体の58・2%。特に、社会福祉施設での災害が急増しており、5年間で58人増の138人に上る。労働局は「福祉系は労働者への肉体的負担が大きく、高齢化の影響が顕著に出ている」と指摘。「高齢になれば労災の発生率が高まり、休業期間も長期化する。職場での安全確保や省力化を進める必要がある」との見方を示す。[br][br] 労災の発生状況では、「転倒」が403人(50人増)と大きく増加し、全体の3割を占める。ほかには「墜落・転落」223人(26人減)、「無理な動作」158人(21人増)、「巻き込まれ」104人(27人減)など。転倒災害は1、2月と12月の3カ月間で190人に上り、厳冬期の発生が半数を占める。[br][br] 死者数は、過去10年間で最少だった13年の7人に次ぎ、過去2番目に少なかった。業種別では畜産・水産業が最も多い3人で、建設業2人、運輸交通業と農林業が各1人と1次産業で目立った。[br][br] 青森労働局は「第13次労働災害防止計画」(18~22年度)で、死亡者を年平均10人以下、死傷者数は毎年1216人以下を目標値に設定している。本年度は転倒災害と冬季の労働災害について指導、啓発を強化するほか、高年齢労働者の対策をまとめたガイドラインやチェックリストの活用を促す方針だ。