インターネット上の通信量が年々増えている。あらゆる情報がインターネットを通じてやりとりされるようになり、「トラフィック」と呼ばれる通信量は2020年に04年比で約78倍まで急増。新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅時間増加も膨張の要因だ。最悪の場合、通信障害の危険性もあり、総務省は対策に乗り出している。[br][br] 総務省が関連事業者などの協力を得て固定ブロードバンドを対象にトラフィックを集計、試算した。[br][br] 日本におけるインターネットは1995年ごろから普及し始めた。文字のみのやりとりから、近年では会員制交流サイト(SNS)の利用拡大を背景に、写真や動画といった容量の大きな情報が頻繁にやりとりされる。[br][br] 20年は19年比で約1・6倍に増加。コロナ禍の影響でウェブ会議やオンライン授業、ユーチューブなどの動画視聴が広まった。[br][br] 昨年末の人気アイドルグループ「嵐」のオンラインライブではトラフィックが直前の休日比で10%増した。このほか、人気ゲームのアップデートなどで突発的に急増することもあった。多様な機器を通信でつなぐ「モノのインターネット(IoT)」化によって将来的にさらに増えることも予想される。[br][br] トラフィックが限界を超えると、速度が遅くなったり、多くの人がネットにつながらなくなったりして通信障害が起こる恐れもある。同様にトラフィックが急増している欧州では、抑制のためユーチューブやネットフリックスの動画再生時の画質を一時的に低下させるなどの対策を取った。[br][br] 総務省は昨年12月に有識者会議を設置し、対策を議論。今年3月に取りまとめた報告書案では、トラフィックが増すオンラインイベントの開催情報を通信事業者に事前に知らせ、動画サイト運営事業者とも連携を強化することを盛り込んだ。今後の通信量増加に備えて通信事業者に継続的な設備投資を求めたほか、東京や大阪に集中しているネットの中継拠点の地域分散を図る方向性も確認した。