災害で住宅が半壊した世帯を救済するため、昨年12月に施行された改正被災者生活再建支援法の効果が乏しい実態が9日、明らかになった。昨年の7月豪雨に遭い、改正法の適用第1号となった自治体への取材では、半壊した計約4千世帯のうち、最大100万円の支援金の対象となったのは約3割。残る約7割は支給要件を満たさず対象外となった。[br][br] 半壊した住宅の修理費は平均約350万円とされる。今後の災害でも同様の傾向が続けば、要件緩和を求める声が強まりそうだ。[br][br] これまでの支援法は、全壊や大規模半壊などが対象で、半壊は対象外だった。改正法は、家屋の損害割合が20%以上40%未満と定める半壊を二つに分割。被害程度の大きい30%以上40%未満を新たに「中規模半壊」と規定した。該当する世帯は再建方法に応じ、25万~100万円の支援金が受け取れる。支援対象の拡大は約20年ぶり。[br][br] 改正法は、昨年の7月豪雨で多数の住宅被害が出た熊本など6県の54市町村にさかのぼって適用した。各自治体によると、法改正前に半壊と認定されたのは計4012世帯。このうち法改正後の追加調査により、事後的に中規模半壊と認定され、支援金の支給対象となったのは今年3月末時点で約3割の1378世帯だった。[br][br] 内閣府の担当者は、3割にとどまったことについて「災害救助法など半壊世帯を対象とした他の支援制度もあり、被災者に活用を促してサポートに努めたい」としている。[br][br] 支援法を巡っては、全国知事会が2019年、半壊を全て支援金の支給対象とすることを求めて内閣府と協議。国の財政難などが影響し、半壊の一部である中規模半壊だけを対象とすることで決着した。