自治体HPや街の案内表示に誤訳も 機械任せに改善求める声

 ホームページなどの誤訳例
 ホームページなどの誤訳例
自治体ホームページ(HP)や街の案内表示の英訳に「誤訳や不自然な表現が多い」との指摘が出ている。多くは民間の機械翻訳システムが訳した言葉をそのまま掲載していたことが原因で、新型コロナウイルス関連の情報も含まれる。「命に関わる情報が正しく伝わ.....
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 自治体ホームページ(HP)や街の案内表示の英訳に「誤訳や不自然な表現が多い」との指摘が出ている。多くは民間の機械翻訳システムが訳した言葉をそのまま掲載していたことが原因で、新型コロナウイルス関連の情報も含まれる。「命に関わる情報が正しく伝わっていない」と改善を求める声が上がっている。[br][br] 「No Entrance Bicycles」。千葉県浦安市のJR新浦安駅近くにある「自転車進入禁止」の英訳に、市国際交流協会前会長の白木聖代さんは苦笑する。不自然な表現で「No Bicycles Allowed」の方が分かりやすいという。[br][br] 意味が通じない訳は同市HPの英語ページにもあり、市在住外国人会会長の林パトリツィアさんは「コロナの症状が出た際の対応など翻訳はほとんど分からなかった」と訴える。市によると、HPは機械翻訳が英訳した文章をそのまま掲載し、案内表示の一部は機械翻訳を使ったり、職員が独自に翻訳したりしたものがあったという。[br][br] 市は昨年11月、白木さんや林さんを委員として、英訳の内容を検証する委員会を設置。コロナや急病診療に関連したページでは、対象とした53の文章のうち約7割が「意味が異なる」などの理由で誤訳と判断され、「修正の必要なし」とされたのは二つだけだった。[br][br] 「全てを人が訳すのは労力と時間がかかる。機械翻訳を否定するわけではない」と白木さんは話す。検証委では、職員がシステムに備わっている誤訳防止機能を十分に活用していなかったことが判明。また、元の日本語が行政特有の回りくどい表現だった場合などに誤訳が生じやすいことも確認された。検証委は、英語話者らによる定期的な確認や災害時に使われる「やさしい日本語」の導入を求めた。[br][br] 機械翻訳による誤訳は他の自治体でもみられる。神戸市のHPでは、中国語への翻訳で区役所名などが誤変換されることがあり、市議会で指摘を受けた。同市では、コロナに関する情報は外国語に堪能な職員が翻訳し、個別ページを作っている。[br][br] 浦安市の検証委で委員長を務めた明海大の上杉恵美教授(通訳案内)は「機械翻訳は今後精度が高くなっていく。有効に活用しながら、命に関わる情報は必ず職員が目を通すような体制づくりが必要だ」と話している。 ホームページなどの誤訳例