国会は6月16日の会期末まで1カ月余りとなった。菅政権が最重視するデジタル改革関連法案や国民投票法改正案の成立にめどが立ち、与党は残る法案の処理に全力を挙げる方針だ。野党は繰り返される新型コロナウイルス対応の遅れを「失政」(立憲民主党幹部)と断じ、菅義偉首相の責任を追及。法案審議でも対決姿勢を強める。内閣不信任決議案を提出すべきだとの声が出る一方、コロナ禍での戦術行使には慎重論も少なくない。[br][br] 週明け10日は衆参両院で首相出席の予算委員会集中審議が開かれる。後半国会のヤマ場と位置付ける立民は枝野幸男代表自ら質問に立つ。コロナ感染を抑え込めていない政権の手詰まり感をあぶり出す狙いだ。[br][br] 東京都議選を7月に控える今年は「会期を延長できたとしても1週間程度」(与党幹部)で、首相の今国会での答弁機会は限られる。枝野氏は衆院選前最後の直接対決になる可能性もあるとみて、事実上の党首討論の構えで臨む。[br][br] 自民、立民両党幹事長は6日、憲法改正手続きに関する国民投票法改正案を会期内に成立させると文書で合意。与党は11日の衆院通過後、参院憲法審査会で19日の審議入りを想定する。週1回の定例日開催で質疑を2、3回実施し、6月2週目までに成立させたい考えだ。並行して衆院で改憲項目の議論をもくろむ向きもあるが、立民に応じる気配はない。[br][br] デジタル庁創設を柱とするデジタル改革関連法案は12日に成立する公算。一定の収入がある75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げる医療制度改革関連法案は7日に衆院厚生労働委員会で可決された。[br][br] 外国人の収容や送還のルールを見直す入管難民法改正案を巡っては、早期採決を訴える与党に対し、スリランカ人女性が施設収容中に死亡した事案の真相究明を求める野党が反発。対立が激化する展開もあり得る。[br][br] 野党は昨年の通常国会では、閉会中審査の確保を優先して内閣不信任案の提出を見送った。立民の野田佳彦元首相は「不信任案を出さないような腰の抜けた野党なら存在意義はない」と強硬姿勢を示すが、党内では国民投票法改正案の成立を確約した以上、衆院解散につながりかねない不信任案の提出はできないとの見方が強まっている。中堅議員は「そもそも今のコロナの状況では不信任案どころではない」と、世論の反発に警戒感をにじませた。