サンマ、イカ…続く不漁 説明付かず長期化の懸念拡大

 日本の全漁獲量の推移
 日本の全漁獲量の推移
サンマなど食卓を彩る魚の不漁が長期化するのではないかとの懸念が漁業関係者の間に広がっている。これまでの漁場で以前のように取れず、漁業資源には過去の経験に照らして説明が付かない変動が生じているとみられ、地球温暖化が影響しているとも指摘される。.....
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 サンマなど食卓を彩る魚の不漁が長期化するのではないかとの懸念が漁業関係者の間に広がっている。これまでの漁場で以前のように取れず、漁業資源には過去の経験に照らして説明が付かない変動が生じているとみられ、地球温暖化が影響しているとも指摘される。政府は養殖が可能な魚種では技術革新を急ぎ、水揚げ減少のダメージ緩和につなげたい考えだ。[br][br] 日本の「秋の味覚」の代表格だったサンマは2019年の漁獲量が過去最低だった。水産庁は海水温や海流の変化で回遊魚のサンマが卵を産む場所を変えたのが一因とみるが、詳細は不明だ。[br][br] 海水温の上昇などはスルメイカやサケ類などの不漁にも関わっている。水産庁によると、日本の周辺海域では00年以降、水温の上昇や下降の基調が過去のパターンに当てはまらない状況が指摘され、15~16年には海水温が急激に上がった。日本の19年の全漁獲量(養殖を除く)は10年前と比べ22%少ない322万8206トンだった。[br][br] こうした変化の影響を和らげようと、政府は、天然資源に依存しない人工種苗による「完全養殖」の実現を後押し。サンマやスルメイカは採算面などから困難とされるが、水産庁はニホンウナギ、クロマグロ、ブリ、カンパチの4魚種について人工種苗比率を50年までに100%に引き上げたいとしている。[br][br] ただコスト低減など課題は多く、現時点では「かなり高い目標」(水産庁関係者)。一方で、サンマ漁船によるマイワシやサバ類の漁獲など魚種をまたぐ試験操業で、水揚げ量を確保しようという動きも始まっているが、漁業資源管理が強まる中、既存の漁業者との調整は難航も予想される。 日本の全漁獲量の推移