【コロナワクチン開発】海外治験に大きな壁 「周回遅れ」の日本

新型コロナウイルスワクチンの有効性や安全性を確かめる臨床試験(治験)は、感染者数が比較的少ない日本では難しい。政府は他国と連携した大規模治験に活路を見いだそうとしているが、有効性の高い欧米製のワクチンが実用化された後は参加者が集めにくく、実.....
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 新型コロナウイルスワクチンの有効性や安全性を確かめる臨床試験(治験)は、感染者数が比較的少ない日本では難しい。政府は他国と連携した大規模治験に活路を見いだそうとしているが、有効性の高い欧米製のワクチンが実用化された後は参加者が集めにくく、実施に向けた大きな壁になっている。国産ワクチン開発は「周回遅れ」の状況が続き、暗雲が垂れこめる。[br][br] 厚生労働省は、海外の医療機関と連携して多くの参加者を集める国際的な治験を支援するため、2020年度第3次補正予算に約1200億円を計上している。[br][br] ただ、欧米企業などのワクチン接種は進み、免疫を獲得する人が日々増えている。効果の高い欧米製があるのに試験段階のワクチンを打ってもらうのは倫理的に問題だとの指摘もある。厚労省幹部は「接種の有無でグループ分けして発症者数を比較する大規模な治験は今後極めて難しくなる」とため息をつく。[br][br] 16日に開かれた、国産ワクチン開発に関する内閣府の有識者会議では、メンバーは「アジアの複数の国に打診したが難しいと言われた」と話していた。[br][br] ワクチン開発に関わる東京大の石井健教授は「このままではワクチンは1年ではできない。今こそ短期間かつ有効で倫理的に問題のない治験の方法を日本から提案すべきだ」と訴える。