東通原発の安全対策工事 完了時期を24年度に延期/東北電

安全対策工事の完了時期が2024年度に延期となった東通原発=2017年11月、東通村
安全対策工事の完了時期が2024年度に延期となった東通原発=2017年11月、東通村
東北電力は28日、東通原発(東通村)の安全対策工事の完了時期を3年延期し、2024年度にすると発表した。完了後の再稼働時期は明言せず、24年度以降の「準備が整い次第」とした。原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査が長期化し、21年度と.....
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 東北電力は28日、東通原発(東通村)の安全対策工事の完了時期を3年延期し、2024年度にすると発表した。完了後の再稼働時期は明言せず、24年度以降の「準備が整い次第」とした。原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査が長期化し、21年度としていた目標達成は難しいと判断した。再稼働はさらに遠のき、地域経済への打撃も避けられない。[br][br] 14年6月に新基準の審査を申請して以降、東北電が工事完了や再稼働の目標時期を延期するのは5度目。3年の延期幅は過去最長で、東日本大震災後の稼働停止は13年を超える見通しとなった。[br][br] 規制委による同原発の審査を巡っては、敷地内外にある断層の議論が長期化。取水設備の新設や追加の地質調査といった対応を経て、周辺断層を震源として評価する必要はないとする東北電の主張は昨年7月にようやく了承された。[br][br] 審査は一定の進展が見られるが、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を定める上で焦点となる「横浜断層」に関する評価は序盤。想定される最大規模の津波(基準津波)、施設の安全性に関する議論もこれからで、合格に向けての課題は少なくない。[br][br] 同日、延期の報告で青森県庁を訪れた東北電の加藤功原子力本部長は「女川2号機(宮城県)の審査実績なども参考に工程を見直した」と説明。「新たな目標の達成に向け、基準地震動や基準津波の策定、その後のプラント審査に全力で取り組む」と語った。[br][br] 度重なる延期に、地域経済への影響を懸念する地元には不満が広がる。 東通村役場で東北電幹部から説明を受けた畑中稔朗村長は「驚くべき内容。気持ちの整理が付いてこない」と不快感を示し、「3年がどれだけ長いか。停止から10年、村民はまだかまだかと期待している」と怒りをあらわにした。地域経済、住民生活に与える影響の調査も要望した。[br][br] 同原発は05年12月に営業運転を開始。定期点検のために運転を停止した直後の11年3月に東日本大震災が発生し、停止状態が続いている。安全対策工事の完了時期が2024年度に延期となった東通原発=2017年11月、東通村