自然災害や価格低下などに伴う農家の減収を国が補填(ほてん)する「収入保険」加入が全国で伸びている。青森県内でも年々増え続け、国のまとめによると、2021年分の加入者は3014件(2月末現在)で、前年比34・6%増となった。不安定な天候が近年多いことに加え、新型コロナウイルスのリスクも顕在化しており、加入の機運が高まったとみられる。[br][br] 同保険は19年に始まった。青色申告を行った農業者(個人・法人)が加入対象で、ほとんどの農産物に保険が適用できる。収入が基準収入(過去5年間の平均年収)より1割以上落ち込んだ場合、対象年の収入と基準収入の差額の9割を補填する。例えば基準収入が1千万円だった場合、対象年の収入が900万円未満だと支払われる。収入がゼロの場合は最大810万円が支払われる仕組み。[br][br] 支払い対象は▽自然災害や鳥獣被害による収量下落▽市場価格の下落▽倉庫の浸水―など、予期しない農作物被害で損失があった場合に限られる。個人は原則として前年の11月末までに加入申請が必要で、法人は事業開始年度の1カ月前まで。[br][br] 19年の県内加入件数は1628件。品目別の加入状況はリンゴ、コメ、野菜が中心で、計9億1500万円が支払われた。20年は2240件で、現在加入者への保険金支払いを進めている。[br][br] 全国でみると、21年分の加入件数は5万6147件(55%増)で、青森県と同様に増加傾向がみられた。[br][br] 県農業共済組合の担当者は「農家から加入してよかったと好評を受けている。セーフティーネットとして加入を検討してほしい」とPRする。問い合わせは、青森県農業共済組合収入保険課=電話017(775)1161=へ。