【二階氏発言波紋広がる】関係者、五輪開催可否巡る動き注視

 新型コロナウイルス感染拡大で、大阪府の聖火リレーは吹田市の万博記念公園内を周回するコースで実施された=13日
 新型コロナウイルス感染拡大で、大阪府の聖火リレーは吹田市の万博記念公園内を周回するコースで実施された=13日
東京五輪・パラリンピックを巡り、自民党の二階俊博幹事長が新型コロナウイルスがさらに拡大した場合は中止も選択肢になるとした発言をし、波紋が広がった。ワクチン接種の遅れ、厳しい世論と、五輪開幕まで100日を切っても明るい材料は乏しい。国内外から.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 東京五輪・パラリンピックを巡り、自民党の二階俊博幹事長が新型コロナウイルスがさらに拡大した場合は中止も選択肢になるとした発言をし、波紋が広がった。ワクチン接種の遅れ、厳しい世論と、五輪開幕まで100日を切っても明るい材料は乏しい。国内外から逆風が吹く中で出た与党幹部の重大発言。関係者は開催可否を巡る動きを注視する。[br][br] ▽火消し[br] 「とても無理と言うならやめないといけない」。15日午前、TBSのCS番組収録での二階氏発言は、瞬く間に各メディアで報じられた。午後になって同氏は「何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で発言した」などと釈明する文書を公表。「火消し」に走った。[br][br] 菅義偉首相の政権運営に密接に関わる東京五輪・パラは、依然として厳しい感染状況や大会のコロナ対策の難しさから、開催を危ぶむ見方は消えていない。自民党幹部は「二階氏は五輪を中止したいなどとは思っていない」と記者団に強調したが、党内からは「何か背景があるのではないか」(中堅議員)と真意をいぶかる声も出た。[br][br] 以前から五輪開催への慎重論が多かった野党は、発言に一斉に反応。共産党の志位和夫委員長は、コロナ禍が深刻だとして「思考停止で開催に突き進むのは許されない」と強調。賛否の明言を避けてきた立憲民主党も「開催を慎重に見極める時期が来たのではないか」(安住淳国対委員長)と踏み込んだ。野党は次期衆院選をにらみ、開催に否定的な世論を意識している節がある。立民幹部は「五輪政局になるだろう」と予告した。[br][br] ▽弱気[br] 大会組織委員会では困惑が広がった。ある幹部は「爆発的に感染が増えたら大会はできない。一般論としての話だろう」と冷静に受け止めたが、別の幹部は発言の真意を巡って臆測が飛び交っているとし「幹事長の発言は重い」と指摘した。[br][br] 開催可否を巡っては、年明け以降、弱気な声も漏れ始めている。組織委関係者は大阪府で感染が急拡大した3月末に「不気味だ」と事態を憂慮。「変異株による感染爆発で、東京でも5月に増えたりしたら(開催は)無理だろう」とこぼしていた。[br][br] 共同通信の最新の世論調査では再延期や中止を望む声は合計で7割を超える。海外メディアの論調も厳しく、12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは東京五輪は日本と世界にとって「一大感染イベント」になる可能性があると指摘。英紙ガーディアン(電子版)も同日「日本と国際オリンピック委員会(IOC)はこの大会が本当に正当化できるかどうか自らに問い掛けなければならない」などと論説記事で指摘した。[br][br] 大会が近づく中、機運が大きく高まる気配はない。コロナ対策の具体化など難題が山積する中、このまま開催に突き進むのか。大会は正念場を迎えようとしている。 新型コロナウイルス感染拡大で、大阪府の聖火リレーは吹田市の万博記念公園内を周回するコースで実施された=13日