【ここに決めた 移住人】福祉で起業 河野さん、久慈で新たな夢追う

「人との出会いを大切にしたい」と話す河野聡平さん=3月、久慈市
「人との出会いを大切にしたい」と話す河野聡平さん=3月、久慈市
久慈市で福祉施設を運営する「ジャストハーツ」代表の河野聡平さん(48)は東京都品川区出身。建設会社に勤め、全国を飛び回っていたが、縁に恵まれて、友人が暮らす久慈に移り住んだ。「ここに骨を埋め、困っている人に手を差し伸べるような事業を展開でき.....
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 久慈市で福祉施設を運営する「ジャストハーツ」代表の河野聡平さん(48)は東京都品川区出身。建設会社に勤め、全国を飛び回っていたが、縁に恵まれて、友人が暮らす久慈に移り住んだ。「ここに骨を埋め、困っている人に手を差し伸べるような事業を展開できたら」。40代で未経験の福祉の世界に飛び込んだ異色の起業家は、第二のふるさとで新たな夢を追う。[br][br] 高校まで都内で過ごし、仙台市の大学へ進学。卒業後は地盤改良を専門とする建設会社に就職し、現場監督や営業所長として全国を渡り歩いた。北奥羽地方では東北新幹線八戸駅や、八甲田トンネル(七戸町)の工事にも携わった。[br][br] 「地図に残る仕事は楽しかった」。充実した毎日を送っていたが、40歳の時に転機が訪れた。人気アニメの脚本家で、高校時代からの親友の所有する競走馬「ジャスタウェイ」が、国内外のG1レースで勝利。賞金などで得た資金を元手に、何か事業を始めないか―と思わぬ誘いを受けた。[br][br]  □      □ [br][br] もともと人一倍好奇心の強い性格で、誘いを快諾して会社を退職。出資を受けて自らの会社を設立し、大学時代の友人がいる久慈で福祉施設を運営することに決めた。2015年、同市長内町に住宅型有料老人ホームを開所。17年に生活拠点も移した。[br][br] 現在は通所介護や訪問介護の事業も手掛け、地元で40人を雇用する。「こちらの思いを押し付けず、その方にとってベストな形を模索したい」と利用者本位の姿勢を大切にし、日々の仕事と向き合う。[br][br]  □      □[br][br] 久慈で暮らし始めて4年。当初はよそ者として警戒されているように感じることもあったが、溶け込むのに時間はかからなかった。「とにかく助けてくれる優しい人ばかり」と温かく迎え入れてくれた地域の人たちに感謝する。[br][br] 休日には、居酒屋で知り合った漁師の船に乗せてもらい、釣りに出掛けることもある。「東京じゃなかなかできないが、ここではふらっと行ける」と海や山の豊かな自然に囲まれた暮らしも満喫している。日本アイスマニア協会(東京)に所属しており、地域の春まつりで全国のご当地アイスを販売するなど、本業以外でも地域と積極的に関わる。[br][br] 新たな縁はアイデアを生む。現在頭の中で練る、久慈産アワビを使った駅弁を大井川鉄道(静岡県島田市)で販売する構想も、市内の漁師と仲良くなったのがきっかけだ。「せっかく久慈に来たので、人との出会いを大切にしていろんなことに挑戦したい。地域を良くする手伝いができたら」。これまで培った幅広い人脈を生かし、久慈のPRにも一役買うつもりだ。「人との出会いを大切にしたい」と話す河野聡平さん=3月、久慈市