青森県内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、春祭りやイベントの主催団体が気をもんでいる。県は9日、「地域の感染状況などを踏まえ、改めて開催可否を判断してほしい」と各団体に要請。これを受け、早くも県都・青森市で行われる「青森春まつり」の中止が決定した。同日現在、八戸市や十和田市などは実施に向け準備を進めているが、今後の感染状況を注視しながら、慎重な判断を迫られそうだ。[br][br] 県内では3月以降、八戸市や青森市、上十三保健所管内などの飲食店や職場、小学校、障害者施設で計13件のクラスター(感染者集団)が発生。複数の圏域をまたぐクラスターも確認され、感染経路が分からない感染者も増加している。[br][br] 県のイベント開催の目安では「複数圏域でクラスターが発生した場合は中止」としている。三村申吾知事は9日、各団体に改めて開催可否を判断するよう促すとともに、開催する場合は感染防止対策の徹底を求めた。[br][br] 県内では昨春のイベントが軒並み中止となり、各団体は2年ぶりの開催を目指し、既に動き出していた。[br][br] 八戸公園を会場とした「はちのへ公園春まつり」(29日~5月5日)は、例年と同じ規模の出店数で十分なスペースを空けて、店の前に来場者が密集しないように対策を講じて開催する予定だ。八戸市公園緑地課は「開催する方針。だが、県の動きを踏まえて最終的に判断することになる」との考えを示した。[br][br] 十和田市官庁街通りや中央公園緑地が主会場の「同市春まつり」(20日~5月5日)は、人気イベントの桜流鏑馬やぶさめを24、25日に実施する一方、よさこいやカラオケといったステージイベントは中止。夜間のライトアップは時間を短縮する。[br][br] 市商工観光課は「緊急事態宣言で不要不急の外出自粛が求められた昨年とは状況が違う。感染対策をしながら、にぎわいを創出するため、検討を重ねてきた」と開催へ向けた思いをにじませながらも、「市内で感染が拡大した場合、中止を判断することもあり得る」と語った。[br][br] 三戸町は昨年の大型連休に合わせて城山公園を閉鎖。今年は開放し、「さんのへ春まつり」(20日~5月5日)を開催する。出店は町内事業者に限り、ステージイベントは行わない。[br][br] 南部町は「同町春まつり」(5月3日)を規模縮小して開催する方針。町商工観光課は「2年連続でイベントが中止となれば、地域の活力が右肩下がりでそがれることとなる」と懸念した。[br][br] 一方、青森春まつりの主催団体は9日に開催中止を決定。青森市内で複数のクラスターの発生や、知事から感染拡大防止の協力要請を受け、決断した―と説明している。