八戸市の教育保育施設クラスター(感染者集団)は、6日に新たに確認された11人を加え、計21人に拡大した。市内の各教育保育施設では、手指消毒や1日数回の検温といった感染予防策を徹底してきた。一方、今回のクラスターは無症状の患者がほとんどで、感染流行地域への移動も現時点で確認されていないなど感染経路が複雑化していることをうかがわせ、早期の発見が難しい現状を浮き彫りにする。[br][br] 同施設のクラスターでは、2日に市内で20~40代の施設関係者2人の感染が判明したのを皮切りに、4日に20~60代の施設関係者6人の陽性が確認された。同日には、青森市が3日に発表していた子ども1人と20代女性1人も同施設に関連していることが分かった。[br][br] 6日にはさらに八戸市の子ども5人と、八戸、青森両市の20~50代の男女6人の感染が確認され、一連の感染者は計21人となった。[br][br] 「考え得る感染対策は全て実践しているつもりだったが、防ぐことができなかった」。クラスターが発生した施設の関係者は、教育保育施設における感染対策の難しさを痛感する。同施設では、検温や手指消毒などを徹底し、職員の日常の行動にも細心の注意を払っていたという。[br][br] 今後は専門業者による消毒作業を進め、保健所の指導も仰ぎながら対応していく方針。施設関係者は「保護者の皆さまの協力に感謝している。再開に向けて対応に努めたい」と話す。[br][br] クラスター発生を受け、八戸市内の保育関係者の緊張感も高まっている。保育施設では、集団行動の機会が頻繁にあり、乳幼児のマスク着用が難しいなど、小さな子どもを預かる施設の特性上、対策が困難な場面も多い。[br][br] ある施設の園長は「保育施設はどこも精いっぱい対応している」と強調。「今回のクラスターでは感染経路が分かっておらず、市中感染も疑われる。改めて対策を徹底し、職員へも普段の行動への注意を促したい」と気を引き締める。[br][br] 別の保育施設では簡易検査キットを用意するなど、これまで以上に対策を強化する。同園の園長は「保育施設の対策については保護者との連携が何よりも大切」と周囲の協力の必要性を訴える。[br][br] 不安は保護者にも広がる。市内の保育園に2歳の息子を預けている女性(27)は「家でも保育園でも、できる限りの対策はしているが、どれだけ予防しても安心とは言えない」と気をもむ。[br][br] 教育保育施設での感染予防策について、県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師は「子どもから感染が広がる事例は比較的少ない。職員同士の食事や更衣室での感染対策などに注意する必要がある」と指摘する。