野党共闘を巡り、立憲民主党が共産党との距離感に苦慮している。25日の衆参3選挙や次期衆院選で勝利を重ねるには、共産の協力が不可欠な一方、連携を強化しすぎれば、保守系議員の多い国民民主党の離反を招くジレンマを抱える。3選挙のうち、参院長野選挙区補欠選挙では足並みの乱れも現実のものとなった。立民は他の選挙への波及を最小限に抑えたい考えだ。[br][br] 「わが党の綱領や政策と相いれない合意が結ばれた。一度白紙に戻したい」。1日の国民の代議士会。玉木雄一郎代表は、参院長野補選で立民候補に出した推薦をゼロから見直すと宣言した。[br][br] 「相いれない合意」とは、立民候補が共産などの県組織と2月に結んだ政策協定だ。日本の安全保障政策を批判する文言や「原発ゼロ」政策が明記され、国民や立民の支援組織である連合が猛反発した。[br][br] 事態を重く見た立民の枝野幸男代表は3月中旬、連合会長に陳謝し、連合は表面上は矛を収めた。とはいえ連合傘下でも、「全国でそれぞれ約20万票の組織票を持つ」(連合幹部)という電力総連や自動車総連、UAゼンセンといった主要労組の組織内議員は、大半が国民に所属している。共産と長年対立してきた歴史を背景に「絶対に一緒にやれない」(ベテラン)との声が根強い。[br][br] 枝野氏は2日の記者会見で、共産との接近が国民の離反を招かないか問われ「政党ごとに立場がある。できる範囲で応援してもらえればありがたい」と正面から答えなかった。国民、共産双方への配慮が念頭にあるのは間違いない。[br][br] 共産の志位和夫委員長も国民の対応について「残念だが、最大限協力をしていい結果を出したい」と批評を避けている。[br][br] 候補者調整の問題もある。立民と共産とは衆院選小選挙区で可能な限り候補者の一本化を目指すが、今も70近くで競合したままだ。最終的に多くの選挙区で、共産が取り下げるとの見方があるものの「一方的な譲歩はできない」(共産幹部)として調整が遅れている。[br][br] 対処を難しくしているのが、共産が提唱する「野党連合政権構想」だ。受け入れに前向きな姿勢を見せれば共産は取り下げに応じるとみられる。ただリベラル系議員が多い立民でも「共産と政権を共にするのはあり得ない。政策が違いすぎる」(岡田克也元副総理)と拒否する意見が大勢だ。枝野氏も慎重な物言いに終始している。