【コロナ禍の日本経済】中小企業や観光地、生き残り模索

 「オンライン旅行」で地元の特産品をPRする谷本竹司さん
 「オンライン旅行」で地元の特産品をPRする谷本竹司さん
新型コロナウイルス禍が始まってから1年、日本経済はなお苦難が続いている。感染「第4波」の懸念から3府県が「まん延防止等重点措置」に追い込まれ、製造業の回復をけん引してきた自動車産業にも半導体不足による減産が影を落とす。コロナ不況の出口が見え.....
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 新型コロナウイルス禍が始まってから1年、日本経済はなお苦難が続いている。感染「第4波」の懸念から3府県が「まん延防止等重点措置」に追い込まれ、製造業の回復をけん引してきた自動車産業にも半導体不足による減産が影を落とす。コロナ不況の出口が見えない中小企業や観光地は、あの手この手で生き残りを模索している。[br][br] ▽1年停止[br] 「3~4年かけて売り上げが(コロナ禍前の)8割の水準に戻ってくれれば」。埼玉県蕨市のおしぼりレンタル業「東京すずらん」の池ノ谷幸枝総務部長は、この先も厳しい経営環境が続くことを覚悟する。1日約15万本だった飲食店への配達は現在8万~9万本。おしぼりを畳む二つのラインのうち一つはこの1年間停止したままだ。[br][br] 昨年の緊急事態宣言時に顧客の約3割を失い、飲食店の時短営業が続く現状では出荷の急回復は見込めない。このため、今月から一般家庭の敷布団や病院のスリッパの洗濯といった新規事業に乗り出す。1日には新入社員2人を迎え、顧客開拓を託す。[br][br] ▽地元集客[br] 日本海に面する兵庫県新温泉町は2月、温泉地や豊かな自然を中継映像で紹介して旅行気分を体験してもらう「オンライン旅行」を初めて企画。全国各地から約30人が参加した。「これは都会では食べられませんよ」。地元鮮魚店の営業担当、谷本竹司さんはカレイの卵を使った特産品などをPRした。参加者から通信販売の注文が入り、コロナ収束後の「再訪」を期待する。[br][br] 長崎県佐世保市の大型リゾート施設「ハウステンボス」は海外や首都圏からの観光客が望めない中、地元での集客に力を入れている。九州在住者を対象にしたお得な宿泊プランを用意し、九州の新成人に通常2万円の年間パスポートを7千円で販売中だ。[br][br] ▽細る支援[br] 自動車産業は雲行きが怪しくなってきた。日銀が1日に発表した企業短期経済観測調査(短観)で景況感が大幅改善したものの、世界的な半導体不足により2月の国内生産は前年同月に比べ1割近く減少。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災も新たに加わった。国内メーカーの減産規模は150万台を超えるとの見方があり、関係者は「深刻な影響が出るだろう」と気をもむ。[br][br] 日本総合研究所の安井洋輔氏は、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」など政府の資金繰り支援が昨年の中小企業の倒産を約3千件抑制したと試算する。ただ、民間金融機関によるゼロゼロ融資は3月末で終了。政府系金融機関も6月末に打ち切り予定で、手厚い支援は今後細っていく。[br][br] 東京商工リサーチは、金融機関が引き続き返済猶予に応じ、当面は倒産件数が低水準で推移するとみるものの「過剰債務に陥った企業が息切れし、今年後半に倒産が増える可能性がある」(友田信男常務)と予測した。 「オンライン旅行」で地元の特産品をPRする谷本竹司さん