【野西高生の自殺問題・解説】心身の苦痛は「いじめ」 実効的な対策不可欠

八戸学院野辺地西高2年だった山田武さん=当時(17)=が自殺した問題で、青森県青少年健全育成審議会いじめ調査部会は、学校側が設置した第三者委員会が「いじめに当たらない」とした行為をいじめと認定した。第三者委の報告書では「仲間内の冗談」との趣.....
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 八戸学院野辺地西高2年だった山田武さん=当時(17)=が自殺した問題で、青森県青少年健全育成審議会いじめ調査部会は、学校側が設置した第三者委員会が「いじめに当たらない」とした行為をいじめと認定した。第三者委の報告書では「仲間内の冗談」との趣旨で処理されたが、再調査では本人が心身の苦痛を感じたとされる行為は全て「いじめ」と判断。当時の山田さんの思いに最大限寄り添う形で結論を導き出した。[br][br] いじめと認定した行為のうち、「死ね〓」と書かれたメモ、筆箱に性的な言葉が彫られていたことについて、第三者委は「友人同士で日常的に“死ね”と言い合っていた」「山田さんが苦痛に感じた形跡がない」としていた。[br][br] 一方、「使い走り」をさせられていた事実は再調査で新たに発覚。調査部会は、第三者委の調査で十分な検証が行われていなかったと指摘。第三者委の調査が自殺から半年以上後に始まり、期間も約1年間に及んだことから、「早期に着手すべきだった。不備があった」と疑問を投げ掛けた。[br][br] いじめは自殺の直接的な原因ではないとされたが、高校生が自ら命を絶った事実を学校関係者は重く受け止める必要がある。部会長職務代理者の船木昭夫青森大社会学部教授は「本人や学校、保護者が情報を共有したり相談したりしていれば自殺を止められたのでは」と語る。[br][br] 暴力行為と異なり、言葉のやりとりは目に見えず、発見しにくい。再調査報告書でも指摘されているように、適切な言葉の使い方を指導するとともに、子どもたちの「SOSを発する力」、大人が「SOSを感知する力」を育てるなど、いじめ予防のため、より実効的な対策が求められる。