2021年度予算が26日、成立した。菅義偉首相は新型コロナウイルス感染阻止を優先すると同時に、衆院議員の任期満了が10月に迫る中、秋までを見据え衆院解散を判断する。東京五輪・パラリンピック後の解散への期待が高い一方、自民党には追い込まれ解散を避けるため5、6月の衆院選論も浮上。4月上旬の訪米によるバイデン大統領との直接会談や、看板政策のデジタル改革関連法案成立など政権の実績作りを急ぎ、解散への環境整備を進める。[br][br] 21年度予算に関し、首相は26日の参院予算委員会で「コロナ感染の再拡大防止に最優先に取り組みながら、雇用や暮らしを支える」と強調した。[br][br] 緊急事態宣言は全面解除したものの、政府、与党はコロナ感染のリバウンド(再拡大)を警戒する。新規感染者数の増加は内閣支持率に大きく影響し「首相の解散判断を左右しかねない」(周辺)との見方が大勢で、円滑なコロナワクチン接種と併せて万全を期す。[br][br] 衆院選を巡っては、与党内ではワクチン接種が進み、東京五輪・パラリンピック終了後の「9月解散、10月投開票」と見る向きが多い。「コロナに打ち勝った証し」と位置付ける五輪を成功させれば「有権者の理解を得やすい」(政権幹部)との読みがある。[br][br] 自民党内には日米首脳会談を成功させ、デジタル法案を4月下旬までに成立させれば、国民にアピールできる材料がそろい解散の環境が整うとの指摘は少なくない。4月下旬や5月上旬に解散し、5、6月の投開票が可能になる。[br][br] 一部では、7月の東京都議選との同日実施も取り沙汰される。だが、都議選を国政選挙並みに重視する公明党は「同日選はもちろん、近接した日程も認められない」(幹部)と難色を示す。[br][br] 首相の自民党総裁任期は9月末まで。10月には衆院議員の任期満了を控え、この時期に内閣支持率が低迷していれば、選挙に弱い若手議員を中心に「菅降ろし」の展開もあり得る。首相はコロナの感染状況や内閣支持率の推移、4月の参院広島選挙区再選挙など衆参3選挙の結果を勘案しながら時機をうかがう。