【日米協力加速】中国・習氏国賓「無期限延期」 政冷経熱へ後戻りも

 米中対立と日本
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日本政府は激しい応酬に発展した米中高官会談の結果を踏まえ、中国をにらんだ日米協力を加速させる。日中関係は「政冷経熱」と呼ばれる関係に後戻りする公算が大きい。懸案の習近平・中国国家主席の国賓来日については「無期限延期」(官邸筋)になったとの見.....
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 日本政府は激しい応酬に発展した米中高官会談の結果を踏まえ、中国をにらんだ日米協力を加速させる。日中関係は「政冷経熱」と呼ばれる関係に後戻りする公算が大きい。懸案の習近平・中国国家主席の国賓来日については「無期限延期」(官邸筋)になったとの見方が支配的だ。対中外交のかじ取りは、難しさを増している。[br][br] ▽対米優先[br] 「日中ハイレベルで話そうという空気には当分ならないだろう」。外務省幹部はアンカレジでの米中高官会談を控えた17日、こう漏らした。中国はこの日、日米の外務・防衛閣僚が中国への懸念を共有した16日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)を取り上げて「日本は米国の顔色をうかがい従属している」(趙立堅・外務省副報道局長)と反発。日本外務省幹部の発言は、こうした中国の攻撃的な言動を踏まえたものだ。[br][br] 政府は、その中国と対立する米国との連携を優先する構えを見せる。背後には、米国と結束しないと、覇権主義的な動きを見せる中国と渡り合えないとの情勢認識が透ける。[br][br] 政府高官は19日、会談で中国の人権問題を批判したブリンケン米国務長官らを「世界の人たちの目の前で議論したのは良かった。非常に雄弁に米国の立場を語っていた」と評価した。菅義偉首相は4月訪米の際、中国を「唯一の競争相手」と位置付け警戒するバイデン大統領と足並みをそろえる意向だ。[br][br] ▽建前論[br] 習氏国賓は一段と遠のいた。沖縄県・尖閣諸島を巡る日中対立を受けて国内の対中感情が悪化している現状に加え、実現を目指せば米国の「対中国包囲網」形成に水を差すとの懸念が、日本側で広がる。[br][br] 日中双方が習氏国賓先送りの理由に挙げる「新型コロナウイルスの感染拡大」に関し、日本外交筋は「建前論だ。コロナ禍が沈静化しても、今のままでは招待できるはずがない」と断じる。[br][br] 今後の日中関係については、経済分野は好調なのに政治は冷え込んだままの「政冷経熱」が続くとみる向きが多い。「政冷経熱」は、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝で両国関係が冷却化した2000年代前半に使われた表現。胡錦濤国家主席が04年に河野洋平衆院議長(いずれも当時)と会談した際、言及したことで知られる。[br][br] ▽二つの声[br] 課題は、日中経済も低迷する「政冷経冷」に陥るリスクをどう避けるかだ。政府は「良好な経済関係を守るために民主主義や人権などで譲ってはならない」(茂木敏充外相)と説明するが、最大の貿易相手国である中国から経済を報復カードに揺さぶられる展開は阻止したいのが本音。安定した日中関係を望む経済界の声が背景にある。[br][br] 首相に近い外交関係者は「中国はひどいという世論もあるし、日中経済を進めてほしいという世論もある。二つの声に耳を傾け、外交努力を積み重ねるしかない」と強調する。 米中対立と日本