東日本大震災から10年 発生時出生の命、大きく成長

生まれてきてくれて、ありがとう―。東日本大震災の年に生まれた子どもたちは今年、10歳になる。(左上から時計回りに)大西紗巴さん、内城若菜さん、工藤優奈さん、坪胡々菜さん
生まれてきてくれて、ありがとう―。東日本大震災の年に生まれた子どもたちは今年、10歳になる。(左上から時計回りに)大西紗巴さん、内城若菜さん、工藤優奈さん、坪胡々菜さん
東北地方を中心に大きな被害をもたらした東日本大震災から11日で10年を迎えた。関連死を含め2万人以上に上る死者・行方不明者を出した大災害は、誰もが当たり前に来ると思っていた明日を奪った。悲しみと静寂に包まれた日。新たな命が希望となった。八戸.....
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 東北地方を中心に大きな被害をもたらした東日本大震災から11日で10年を迎えた。関連死を含め2万人以上に上る死者・行方不明者を出した大災害は、誰もが当たり前に来ると思っていた明日を奪った。悲しみと静寂に包まれた日。新たな命が希望となった。八戸市の母親たちは産婦人科の病室でわが子を胸に抱いた。「生まれてきてくれて、ありがとう」。愛情に包まれ育った子どもたちは今年、10歳になる。[br][br] 「人の命を大切に思える子になってほしい」。大西健司さんと保子さん夫妻は願いを込める。午後0時14分、紗巴(すずは)さんが生まれた。喜びもつかの間の大地震。帝王切開後でベッドから動くこともままならない保子さんと紗巴さんを必死に守ってくれたのは助産師らだった。両親から当時の話を聞いている紗巴さん。「将来はあの時守ってくれたような助産師さんになりたいな」[br][br]  ◇  ◇  ◇[br][br] 午後1時6分、内城若菜さんが産声を上げた。「10年はあっという間。元気に育ってくれて感謝している」と話す母親のかおりさん。若菜さんの誕生日が来るたびに語りかけている。「たくさんの人が亡くなった日。一生懸命生きなきゃね」。あの日から10年。かおりさんのおなかには新たな命が宿る。もうすぐお姉ちゃんになる若菜さんは「弟だといいな」と誕生を心待ちにする。[br][br]  ◇  ◇  ◇[br][br] 工藤里美さんは、夫の単身赴任先の岩手県北上市で午前6時28分に優奈さんを出産した。優奈さんは最近、両親から生まれた日のことを聞いた。大地震が起こったこと、停電や断水で大変な中、誕生を家族みんなで喜び合ったこと―。「とても大切に思ってくれていることを知ってうれしかった」。娘の言葉に成長をかみ締める里美さんは「人を思いやれる優しい人になってほしい」と願う。[br][br]  ◇  ◇  ◇[br][br] 地震後の停電による暗闇で不安に包まれながら陣痛に耐えた坪聖子さんは、翌朝の12日午前8時48分に胡々菜さんを出産した。数日後、胡々菜さんに頭蓋骨などの形成異常が起こる病気が見つかったが、手術を経て今は元気に成長している。大好きなお母さんは胡々菜さんの憧れ。将来、優しい母親になることを夢見る。生まれてきてくれて、ありがとう―。東日本大震災の年に生まれた子どもたちは今年、10歳になる。(左上から時計回りに)大西紗巴さん、内城若菜さん、工藤優奈さん、坪胡々菜さん