イノシシの捕獲、目撃急増/青森県南

牧場の草地を歩き回るイノシシの群れ=2020年11月下旬、新郷村上後藤地区(村提供)
牧場の草地を歩き回るイノシシの群れ=2020年11月下旬、新郷村上後藤地区(村提供)
長年、イノシシの“空白地帯”とされてきた青森県南地方で今冬、捕獲や目撃が急増している。捕獲数は2月末時点で田子町12頭、七戸町2頭と過去に例のない数に上り、新郷村でも住民から目撃情報が寄せられるなど、生息域が拡大している可能性を示す。個体数.....
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 長年、イノシシの“空白地帯”とされてきた青森県南地方で今冬、捕獲や目撃が急増している。捕獲数は2月末時点で田子町12頭、七戸町2頭と過去に例のない数に上り、新郷村でも住民から目撃情報が寄せられるなど、生息域が拡大している可能性を示す。個体数の増加は農作物への食害や、家畜伝染病の豚熱感染リスクが高まることにつながり、関係者は警戒を強めている。[br][br] 県内のイノシシは江戸時代以降に絶滅したとされていたが、2019年度初めて、田子町内で3頭が捕獲された。同町猟友会の副会長で、町鳥獣被害対策隊も務める堀合輝彦さん(65)によると、今シーズンの狩猟期間中、朝日奈岳山麓の根渡地区などで複数のハンターが足跡を追跡する方法で猟を行い、幼獣3頭を含む12頭を銃で捕獲した。[br][br] 「以前より増えているとは思っていたが、こんなに捕れるとは。15頭ほどの群れを見たという人もおり、生息数はかなりの数に上るだろう」と驚く堀合さん。地元ハンターはイノシシの捕獲経験が少なく、狩猟捕獲だけで大幅に数を減らすことは難しいといい、「今後、農作物被害が増えるのでは」と気をもんでいた。[br][br] 県南はナガイモやジャガイモなど、イノシシが好む農産物の生産が盛んで、七戸町の担当者は「深刻な事態と捉え、捕獲に向け痕跡調査を行っている」と危機感をあらわにした。[br][br] 養豚業に大打撃を与える豚熱の感染も懸念される。県畜産課によると、検査態勢の整った1月以降に回収した血液サンプルは、田子町3頭分、七戸町1頭分で、遺伝子検査の結果はいずれも陰性だった。[br][br] 東北地方ではこれまで、山形県の養豚場で豚熱が発生し、福島県でも野生イノシシの感染が確認されており、担当者は「今後も油断せず警戒を強めていく」としている。牧場の草地を歩き回るイノシシの群れ=2020年11月下旬、新郷村上後藤地区(村提供)