【ここに決めた 移住人】森さん夫妻「本のまち八戸」で新たな挑戦

首都圏から移住し、八戸ブックセンターで「本のまち」を盛り上げる森佳正さん(右)と花子さん=2月22日、八戸市
首都圏から移住し、八戸ブックセンターで「本のまち」を盛り上げる森佳正さん(右)と花子さん=2月22日、八戸市
東京都の大手書店に勤めていた森佳正さん(42)と花子さん(35)夫妻は結婚前の2015年の冬、インターネットで「本に関わるスタッフ」の募集を見つけた。勤務地が明らかにされていない不思議な求人との出合いが、新たな“物語”の始まりだった。そろっ.....
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 東京都の大手書店に勤めていた森佳正さん(42)と花子さん(35)夫妻は結婚前の2015年の冬、インターネットで「本に関わるスタッフ」の募集を見つけた。勤務地が明らかにされていない不思議な求人との出合いが、新たな“物語”の始まりだった。そろって採用されたのは、16年12月にオープンを控える八戸ブックセンターだった。[br][br] 札幌市出身で大学進学を機に上京して以来、都内で働いていた佳正さんと、横浜市出身で図書館などに勤めていた花子さんが知り合ったのは12年。都内の大型書店の同僚スタッフとなったのがきっかけだった。[br][br] そこは売れ筋の本を並べるだけでなく、書店員が独自に選んだ本を置く「選書型」の書店。著者を呼んだトークショーや読書会などイベントに積極的で、忙しい日々を送りながらも支え合い、私生活でも時間を共にするようになった。[br][br] 不思議な求人を見つけたのは、勤務して3年を迎えた頃だった。都会での生活が長く、がむしゃらに働いてきた2人。漠然と将来についても意識し始め、どこかも分からない新天地への誘いは、「人生の転機」を予感させた。[br][br] 首都圏から遠く離れた八戸市での採用を告げられても動揺はなかった。佳正さんは「まるで(テレビ番組の企画の)『ダーツの旅』みたいな感じだった」。花子さんも「1人ではなかったので不安はなかった」と共に好奇心が上回った。[br][br]  □      □[br][br] 2人は移住をきっかけに夫婦となった。八戸ブックセンターの立ち上げを成功させ、現在は佳正さんが販売する本の選書、花子さんが館内で定期的に行われるギャラリー展などを担当する。同センターも選書型で、書店員時代に培った経験を生かし、充実の日々を送る。[br][br] 市内では移動手段に自家用車を利用する人が多い。一方、免許がない森さん夫妻は専らバスと徒歩に頼る。「都会で暮らしていた時は歩くのが当たり前だった。別に不便さは感じていない」とこともなげに話す。[br][br]  □      □[br][br] 同センターに勤めて4年。花子さんはイベントなどで地域の文化関係者と接する中で、地元を盛り上げようと信念を持っている人が多いと実感する。「何か面白いことをやろうとすると、手を貸してくれる人が増えてきた」と地域とのつながりのありがたみをかみ締める。[br][br] これまで、同センターが主体となって本を出版したり、芥川賞作家と一緒にギャラリー展を実施したりと八戸の文化シーンを刺激してきた。[br][br] 「地域にとってブレークスルーになるような書店にしたい」(佳正さん)、「若い世代が『こんなにかっこいい施設が地元にある』と自慢に思ってくれるような施設になれば」(花子さん)。まだまだアイデアは尽きない。「本のまち八戸」で始まった挑戦は続く。首都圏から移住し、八戸ブックセンターで「本のまち」を盛り上げる森佳正さん(右)と花子さん=2月22日、八戸市