【震災10年 復興の歩み】(4)おいらせ町 明神山防災タワーを建設

2015年12月に完成した緊急避難施設の明神山防災タワー。避難室床面は高さ約10メートルで134人を収容できる=おいらせ町松原1丁目
2015年12月に完成した緊急避難施設の明神山防災タワー。避難室床面は高さ約10メートルで134人を収容できる=おいらせ町松原1丁目
東日本大震災で住家78棟が全半壊したおいらせ町。押し寄せた津波によって漁船の流出や農業用ハウスの冠水、養豚施設の豚舎全壊など農林水産業も大きな被害を受けた。佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査によると、町内の津波の高さは最大8・8メートル。被.....
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 東日本大震災で住家78棟が全半壊したおいらせ町。押し寄せた津波によって漁船の流出や農業用ハウスの冠水、養豚施設の豚舎全壊など農林水産業も大きな被害を受けた。佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査によると、町内の津波の高さは最大8・8メートル。被害総額は20億7千万円に上った。町は防災行政無線のデジタル化などを実施し、2018年3月までに震災復興計画に掲げている避難対策を中心としたハード整備事業を終えた。[br][br] 同町川口地区は、奥入瀬川と明神川に挟まれており、高台がない。そのため、住民が避難できるように「明神山防災タワー」を建設。国の復興交付金などを活用し、15年12月に完成した。[br][br] 鉄筋造りで、約134平方メートルの避難室とトイレ、倉庫を備える。避難室床面の高さは約10メートル、海抜23メートルで134人が収容可能だ。発電機や毛布、3日分の非常食などを配置しており、現在は川口町内会などが避難訓練で活用している。[br][br] 川口自主防災会会長も務める大久保信町内会長(70)は「避難場所ができたことで安心感はある。高齢者が増えているが、タワーを活用した訓練を重ねて地域で助け合いたい」と強調する。[br][br] 16年7月には、指定避難場所までの移動が困難な場合に備え、百石道路西側ののり面4カ所に避難階段を設置。津波が襲来した際には、本町、秋堂、苗振谷地地区の住民の緊急避難場所として使用できる。各階段とも幅10メートル、段数は16段で全て合わせて最大約400人を収容できる。[br][br] 震災では、松原地区にある百石工業団地の食肉加工会社の工場などが浸水したほか、各事業所の従業員の車も冠水したため、高台への階段やスロープを整備。沼端地区の高台には、津波監視カメラを設置した。[br][br] 津波の浸水を低減するため、青森県は防潮堤のかさ上げ工事も実施している。百石海岸の防潮堤では、高さを1メートルかさ上げして7メートルにする工事を行っており、22年度中に完成する見通し。奥入瀬川の河口付近にある堤防の補強、かさ上げ工事は21年度末に完了する予定だ。2015年12月に完成した緊急避難施設の明神山防災タワー。避難室床面は高さ約10メートルで134人を収容できる=おいらせ町松原1丁目