【21予算をみる 青森県】(中)農林水産

多くの冷凍食品が並ぶスーパーの売り場。青森県は事業者の開発支援に乗り出す=2018年、八戸市
多くの冷凍食品が並ぶスーパーの売り場。青森県は事業者の開発支援に乗り出す=2018年、八戸市
青森県の基幹産業である農林水産分野では、県産品の消費拡大と担い手確保が最重要課題となっている。2021年度は県産米新品種「青系196号」のデビューに向けた準備、年々市場が拡大する冷凍食品の開発支援、離農者から新規就農者に農地を引き継ぐ「第三.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県の基幹産業である農林水産分野では、県産品の消費拡大と担い手確保が最重要課題となっている。2021年度は県産米新品種「青系196号」のデビューに向けた準備、年々市場が拡大する冷凍食品の開発支援、離農者から新規就農者に農地を引き継ぐ「第三者承継」への取り組みを展開する。[br][br] 23年度の販売開始を目指す新品種は病気や気温の影響に強く、柔らかな良食味が特長。今後3年間で生産指導体制の整備と販促活動を行う。21年度は事業費1167万円を計上し、名称を公募して決める。22、23年度は指導者向けの研修会やデザイン制作を行う。[br][br] 生産地を津軽地方に限定している県産ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」とは異なり、新品種は県内全域で作付けが可能。県南地方のコメ農家は「選択肢が増えることは好ましい。県南にとってうれしいことだ」と歓迎する。[br][br] 冷凍食品は簡単に調理できる利便性の高さから、堅調に売り上げが伸びている。県の資料によると、国内市場は16年度が7516億円で、19年度が8314億円と3年間で約1割増となった。新型コロナウイルスの影響で“巣ごもり需要”がさらに高まっている。[br][br] 県内では製造、出荷体制が整備されておらず、販路拡大の可能性を狭めているのが現状だ。国内の1次産業が盛んな北海道などと比較しても後発だ。[br][br] 県は生産体制を整えるための支援費3297万円と、県内加工業者の開発支援を行う費用1695万円を充てた。水産品や野菜、果実を使った冷凍食品の製造を支援し、23年度内までに9商品の開発を目指す。[br][br] 生産基盤を支える担い手確保対策も欠かせない。20年版の農林業センサスによると、農業を主な仕事とする基幹的農業従事者は4万8081人で、15年と比べ1万258人が減少した。[br][br] 県が新たに取り組む第三者承継では、新規就農者が経営基盤の農地を譲り受けることで、早期に自立できる利点がある。[br][br] 県は普及費用に623万円を計上。後継者が不在で離農を考える生産者を把握し、県内外の新規就農者へ呼び込みを行う。23年度までに6組の成立を目指す。[br][br] 県構造政策課は「高齢化や後継者不在を理由に農業を辞める人が増えている。新たな担い手に土地を引き継ぐ仕組みを早急に整えていきたい」と述べた。多くの冷凍食品が並ぶスーパーの売り場。青森県は事業者の開発支援に乗り出す=2018年、八戸市