【連載・八戸西初の甲子園へ】(2)交流

「リサイクルボール」の修繕作業などを通じて八戸高等支援学校の生徒と交流している八戸西ナイン=昨年11月、八戸市
「リサイクルボール」の修繕作業などを通じて八戸高等支援学校の生徒と交流している八戸西ナイン=昨年11月、八戸市
今春の第93回選抜高校野球大会出場校に21世紀枠で選出され、創部46年目にして「聖地」へ新たな一歩を踏み出す八戸西。先の出場校選考委員会で高評価を得た選出理由の一つが、「特別支援学校との交流」だった。 八戸西はスポーツ科学科が10年以上前か.....
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 今春の第93回選抜高校野球大会出場校に21世紀枠で選出され、創部46年目にして「聖地」へ新たな一歩を踏み出す八戸西。先の出場校選考委員会で高評価を得た選出理由の一つが、「特別支援学校との交流」だった。[br][br] 八戸西はスポーツ科学科が10年以上前から年1回、八戸市の八戸高等支援学校(八高支)とスポーツイベントなどで交流を続けている。野球部としては、特別支援学校に勤務する小川貴史監督(37)が2019年に八高支赴任後、交流関係がより密接になった。双方は「リサイクルボール」などでつながり、一緒に「甲子園」の夢を追ってきた。[br][br] リサイクルボールは、小川監督がまだ野球部コーチだった17年、前任地のむつ養護学校(むつ養)で始めた取り組みだ。障害のある子どもたちに「『誰かの役に立てる仕事』を与え、誇りに感じてほしい」との願いを込めて導入した。使い古してぼろぼろになった八戸西のボールをビニールテープで修繕してもらう作業。使う側の野球部員には「周囲への感謝の気持ちを忘れないでほしい」とのもくろみもあった。[br][br] 当時の小川監督は八戸からむつに通勤しながら野球部の指導に当たっており、使い古したボールと、修繕を終えたボールは自らの車で運んだ。[br][br] 19年の異動に伴い、むつ養のリサイクルボールを通した取り組みは地元の大湊高に引き継いだが、小川監督は新任地の八高支でもリサイクルボールの取り組みを導入。これを機に交流の機会は増え、夏場は八戸西ナインが八高支のグラウンドで合宿したり、生徒と一緒に障害者スポーツを楽しんだりして絆を深めている。昨年11月には、開校記念日を利用して八高支を訪ね、生徒と一緒に畑作業に汗を流したほか、実際にボールの修繕を行い、作業の苦労を身をもって体験した。[br][br] 北国だけに、八戸西も冬場の練習は屋内が中心。トス打撃やティー打撃で使っているのは、もちろん山積みのリサイクルボール。「ガツ、ガツ」―。新しい硬式球よりも鈍い打球音が響く。気持ち良く飛んでいるわけではないが、メンバーのまなざしは真剣そのもの。宮﨑一綺主将は「1球への集中力が高まる。多くの人の支えがあって野球ができていることを忘れてはいけない」と、バットを持つ手に力がこもる。[br][br] 先月29日、初の甲子園出場が決まった。大会の実績だけではない。八高支をはじめとしたたくさんのサポートがあってもたらされた吉報だったのは間違いない。打線の中軸を担う廣田大和は「特別な甲子園になる。多くの支えに感謝の気持ちを込めてプレーする」と気を引き締めた。「リサイクルボール」の修繕作業などを通じて八戸高等支援学校の生徒と交流している八戸西ナイン=昨年11月、八戸市