天鐘(1月31日)

〈風燃える緑の原に/九人の兵士は走る/あどけなさのこる素顔を/興奮に少しあからめて…〉。高校野球を愛した作詞家の故・阿久悠さんが42年前に書いた詩の一部だ▼当時、甲子園を毎日欠かさず見るのが日課だった阿久さん。この日は初出場が4校も登場、う.....
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 〈風燃える緑の原に/九人の兵士は走る/あどけなさのこる素顔を/興奮に少しあからめて…〉。高校野球を愛した作詞家の故・阿久悠さんが42年前に書いた詩の一部だ▼当時、甲子園を毎日欠かさず見るのが日課だった阿久さん。この日は初出場が4校も登場、うち3校が敗れ去った。初陣にとって晴れ舞台はまた、大きな重圧。多くのものと闘う若者たちの、興奮と緊張の表情を切り取った▼今年のセンバツは初出場が10校と、新鮮な顔ぶれになった。その中に「八戸西」とあるのがうれしい。青森勢では初の21世紀枠での選出。吉報を選手に伝える監督には涙があった。本当によかった▼夏の県大会では2度の準優勝。あと一歩と迫りながら、夢を絶たれてきた。「打倒、私立」を合言葉に、泥まみれの練習。そして、決して「強さ」だけではかなえられなかった今回の甲子園。努力で咲かせた花の香が優しい▼「明るく、礼儀正しく、格好良く」がモットーと主将が言っていた。「恥をかかないように」とも。なぁに、気にすることはない。どんな強豪も初出場から始まった。ドンとぶつかっていけばいい▼コロナに泣いた昨年の全ての選手の分まで、思い切ってプレーしてほしい。阿久さんの詩は続く。〈ときめきは男をつくる/おののきは男をみがく/少年のおさなさは消え/ほれぼれとする男になる〉。大いなる成長の春が待っている。