新郷村の自然薯栽培10年目 20年産、過去2番目の出荷量/品質年々向上

2020年産の自然薯の選別作業などを行う関係者=同年12月、新郷村
2020年産の自然薯の選別作業などを行う関係者=同年12月、新郷村
新郷村の呼び掛けで始まった村内の自然薯(じねんじょ)栽培が、本年度で10年目を迎えた。2020年産の出荷量は、記録が残る13年以降で過去2番目に多くなるなど、収量、品質とも年々向上しており、市場の評価が高まる。一方、栽培技術の確立などが課題.....
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 新郷村の呼び掛けで始まった村内の自然薯(じねんじょ)栽培が、本年度で10年目を迎えた。2020年産の出荷量は、記録が残る13年以降で過去2番目に多くなるなど、収量、品質とも年々向上しており、市場の評価が高まる。一方、栽培技術の確立などが課題で、生産者はわずか3戸にとどまるのが現状だ。農家の所得アップの期待を背負う同作物。村や生産者らが産地化を目指し、試行錯誤を続ける。[br][br] 自然薯は、ナガイモよりも粘り気が強く、栄養価も高いのが特徴。村内での生産は、新たな特産物の開発を狙う村の働き掛けで、11年にスタートした。[br][br] 昨年12月には、生産者や村、八戸農協の職員らが村内の施設で20年産の選別や箱詰め作業を行った。村によると、同年産は397キロを出荷し、19年産の248キロに比べて1・5倍以上に増加。16年産の421キロに次ぐ多さとなった。A等級の比率も20年産は47%と高く、19年産の24%の約2倍に向上した。[br][br] 同農協によると、19年産の新郷の自然薯は1キロ当たり2千~2500円ほどで取引された。過去には3千円近くの値が付いたこともあり、流通量が少ないため、ほかの作物と比較して取引価格の高さが際立っているという。[br][br] 一方、栽培の多くを手作業に頼るなど農家にとっては手間が掛かるのが難点。品質や収穫量は天候など不確定要素に左右される部分があり、熟練の農家でも栽培方法が確立できていないことが、同作物の導入に二の足を踏ませる。[br][br] 村内のある農家は「栽培が難しく、ナガイモなどほかの作物と比べると収量が安定しない。値段が高いのは魅力だが、今の状態では“ギャンブル”的な要素があり、気軽に生産を始められるものではない」と話す。[br][br] ただ、自然薯は高値で取引される上、設備投資も比較的少なくて済むことなどから、村は今後も新たな特産品としての可能性を模索する考えだ。[br][br] 村内の生産者グループ「新郷自然の里」の橋端秀作会長(40)は「生産者を増やすには収量や品質を安定させ、稼げる仕組みを作ることが何よりも重要だろう」と指摘。村の担当者は「栽培技術を確立し、生産農家を増やすのが今後の課題。専門家に協力を要請するなどして、栽培を支援していきたい」と強調する。2020年産の自然薯の選別作業などを行う関係者=同年12月、新郷村