地元再興誓い 居酒屋「いろは」復活/八戸

約30年ぶりに居酒屋「いろは」を復活させる佐々木信綱さん(右)ら=2020年12月下旬、八戸市
約30年ぶりに居酒屋「いろは」を復活させる佐々木信綱さん(右)ら=2020年12月下旬、八戸市
新鮮な海産物をそろえた市場などが立ち並び、八戸市民の台所として、昔ながらのハマの活気を今に伝えてきた同市湊町地区の商店街。近年は訪れる人の減少に伴い、老舗飲食店がのれんを下ろすなど、寂しい話題が増える中、30年ほど前に閉店した居酒屋「いろは.....
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 新鮮な海産物をそろえた市場などが立ち並び、八戸市民の台所として、昔ながらのハマの活気を今に伝えてきた同市湊町地区の商店街。近年は訪れる人の減少に伴い、老舗飲食店がのれんを下ろすなど、寂しい話題が増える中、30年ほど前に閉店した居酒屋「いろは」が1日、復活を果たす。店を引き継ぐのは、東京で作曲活動を行う同市出身の佐々木信綱さん(45)。祖父母が切り盛りしていた頃のにぎわいを取り戻そうと、立ち上がった。湊町から八戸の元気を発信していく―。仲間と共に地元の再興を胸に誓う。[br][br] いろはは、現在のファミリーマート八戸湊町店付近にあったトタンぶきの店舗で、当時は昼夜とも営業し、祖父母が腕を振るった料理を食べながら、やかんに入った日本酒を楽しむのが定番だった。古き良き昭和の風情が漂う店はいつも盛況で、外には長い列ができるほどだったという。[br][br] その様子を見てきたのが佐々木さん。来店客との会話を弾ませながら、絶品の料理と酒でもてなす姿に憧れを抱いてきた。[br][br] 高校卒業後に上京し、音楽活動を本格化させる傍ら、「元々自分も酒好きだから」と埼玉県に居酒屋を構えた。その名も「168(イロハ)」。缶詰にひと手間加えるメニューを用意し、接客業の楽しさとともに難しさも痛感。祖父母の偉大さを改めてかみしめるうち、「いつかは八戸で店を持ちたい」と夢を膨らませた。[br][br] 東京にいながらも常に八戸の話題は気にしてきた。この1年は暗いニュースばかりが耳に入り、心を痛めていた。祖父母が店を閉めてから、30年ほどが過ぎていることも古里への思いを強くする理由になった。「このままでは、いろはを知っている人がいなくなってしまう。やるなら今しかない」。[br][br] 昨年8月に八戸へ戻り、準備を本格化。年代は違うが、湊町出身の仲間を集め、新店舗の場所を市営魚菜市場前の通り沿いに決めた。[br][br] 店づくりにはこだわった。食材は全て同市場でそろえ、日本酒は当時と同じく、やかんに入れて提供する“昭和スタイル”にした。従業員のユニホームには、市立湊中のジャージーを選ぶなど地元の魅力を凝縮。「当時を知っている人には懐かしんでもらい、初めての人には新鮮な気持ちで楽しんでもらえればうれしい」と胸を張る。[br][br] 店舗を軸にした同地区全体の活性化のアイデアも頭にはあるが、「まずは自分たちがオープンを楽しみにしている。新たな湊町の遊び方を提案し、多くの人の交流が生まれる場にしていきたい」。2021年元日、約30年の時を経て、いろはの新たな歴史が動き出す。約30年ぶりに居酒屋「いろは」を復活させる佐々木信綱さん(右)ら=2020年12月下旬、八戸市