時評(1月1日)

コロナ禍の中で、新年が始まった。感染確認が相次ぐ青森県内でも仕事、教育、余暇活動とあらゆる場面で「密」の排除を求められる生活が続く。新型コロナウイルスと向き合い、感染予防と経済活動の両立に取り組まなければならない2021年である。 雇用が脅.....
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 コロナ禍の中で、新年が始まった。感染確認が相次ぐ青森県内でも仕事、教育、余暇活動とあらゆる場面で「密」の排除を求められる生活が続く。新型コロナウイルスと向き合い、感染予防と経済活動の両立に取り組まなければならない2021年である。[br] 雇用が脅かされ、暮らしがままならない人が出ている。県内ではこれまでに1430人が職を失い、今後も増加する可能性があるという。1年前には安定していた雇用情勢が激変し、生活の土台が揺らいでいる。[br] 飲食業が被った影響は大きい。県内でも八戸、青森、弘前の3市で飲食店クラスター(感染者集団)が発生し、夜の街から客足が遠のいた。宿泊業者もインバウンド(訪日外国人客)の消失と遠出の自粛により、苦境に陥っている。[br] 県は宿泊キャンペーンなどの事業者支援策を相次いで実施している。地域経済回復のために打撃を受けた業界への切れ目のない支援は不可欠だ。一方で感染拡大につながりかねないとして大人数での会食や人の移動には厳しい目が向けられる。感染状況を見極めながら事業を展開する柔軟性を県に求めたい。[br] 教育現場は感染拡大によって新しい取り組みを求められた。オンライン授業は「変化」の典型だ。県内の小中学校でもデジタル端末の配布が進み、ハード面は整いつつある。[br] 今後、重要になるのは活用の方法だろう。オンラインの長所と短所を見極め、児童、生徒の理解力向上につなげたい。同時に指導する教員のスキルアップも欠かせない。再び休校措置が必要となったとしても不足なく対応できるよう、ソフト面を含め環境整備を急ぐべきだ。[br] 感染者らに対する誹謗(ひぼう)中傷、偏見は社会問題となっている。県内でも“被害”は確認されているという。県はインターネット上を監視するなど対策を講じているが、それには限界がある。問われているのは気持ちの持ちようではないか。感染への不安を他者に向けるのではなく、自身の予防行動につなげられる社会を望む。[br] 事業者支援の必要性が分かっていても、旅行や外食に後ろめたさを感じる人もいるだろう。間違った考えではない。だが、自粛ばかりでは社会が成り立たなくなるのも事実だ。そこに感染予防と経済活動の両立の難しさがある。行動に悩みながら、それでも私たち一人一人の感染対策が実を結ぶと信じて、かつてのような日常を取り戻せるよう、この一年を過ごしたい。