【超高齢社会の先へ】第5部 未来を見つめて(4)

介護助手として活躍する山本玲子さん(右)=仮名=。「人の役に立てることがうれしく、励みになる」とやりがいを感じている=16日、八戸市
介護助手として活躍する山本玲子さん(右)=仮名=。「人の役に立てることがうれしく、励みになる」とやりがいを感じている=16日、八戸市
人手不足が懸念される介護の現場では、新たな担い手として中高齢者に熱い視線が注がれている。青森県内では「介護助手定着促進事業」を展開する県社会福祉協議会が橋渡し役となり、事業開始の2016~19年度の4年間で、「社会貢献がしたい」「働きたい」.....
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 人手不足が懸念される介護の現場では、新たな担い手として中高齢者に熱い視線が注がれている。青森県内では「介護助手定着促進事業」を展開する県社会福祉協議会が橋渡し役となり、事業開始の2016~19年度の4年間で、「社会貢献がしたい」「働きたい」という中高齢者延べ119人と介護事業者延べ33法人50事業所を結び付けてきた。心身共に元気な高齢者に「支え手」として力を発揮してもらうことで、介護現場の負担を軽減するとともに、高齢者の活躍機会の創出にもつながることが期待されている。[br][br]   ◇    ◇[br][br] 「体力も気力も十分にある。支える側として働けることがうれしい」。週3日、八戸市の特別養護老人ホーム「修光園サテライト」で介護助手として働く山本玲子さん(69)=仮名=は、介護施設での仕事にやりがいを感じている。[br][br] 施設内の清掃業務や洗濯物の仕分け、加湿器の給水など、資格を必要としない家事的な仕事を中心に快適な居住空間を維持するのが主な業務。加えて、利用者の話し相手や経管チューブを装着する利用者の見守りなど、介護士や看護師らのサポート役も担う。[br][br] これまでに介護に携わる機会はあまりなかったという山本さんは、同事業の折り込みチラシを見て、「高齢者でも働ける機会があるなら挑戦してみよう」と応募を決意。介護施設で働く友人から話を聞いていたこともあり、福祉分野への関心が高かったのも応募する後押しになった。[br][br] 短時間勤務で自分の生活や体力に合わせて働けるのも特徴の一つ。「施設の専門職の方や利用者の皆さんとの交流も励みになっている」と語る山本さんの表情は明るい。[br][br] 介護助手がいることは施設側にとってもメリットがある。同施設では3人の介護助手が活躍しており、介護士や看護師らの負担が軽減され、専門職でなければできない業務に専念でき、利用者と関わる時間も増えたという。担当者は「今ではなくてはならない存在。一緒に仕事をしていく中で協力し合い、施設職員にとっても刺激になっている」と実感を込める。[br][br]   ◇    ◇[br][br] 介護助手定着促進事業は16年度にスタート。希望者は説明会に参加した上で、福祉施設で仕事を体験する。施設側の面接で採用された場合、12月~翌年2月の3カ月間、介護助手として勤務し、状況に応じてそのまま継続雇用される。[br][br] 県社協によると、19年度は介護助手44人のうち30人が勤務を継続。中には、腰痛でいったん退職した介護士が介護助手を経験した際、介護ロボットの普及で働きやすくなったことを知り、再び介護士として働くようになった事例もある。介護の有資格者でありながら一線を退いている「潜在介護士」のキャリア復帰にも結び付いているという。[br][br] 県社協の担当者は「地域のマンパワーの発掘にもなり、確実に効果が出ている」とし、今後も人材の掘り起こしに努める考えだ。介護助手として活躍する山本玲子さん(右)=仮名=。「人の役に立てることがうれしく、励みになる」とやりがいを感じている=16日、八戸市