天鐘(12月25日)

クマといえば、青森ではツキノワグマ、北海道ではヒグマを指す。ニホンザルの北限は下北半島。自然界に生きる動物の分布は、津軽海峡の南北でだいぶ異なる。「ブラキストン・ライン」と呼ばれる境界線である▼氷河期が過ぎて温暖になると、大陸の氷が溶けて海.....
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 クマといえば、青森ではツキノワグマ、北海道ではヒグマを指す。ニホンザルの北限は下北半島。自然界に生きる動物の分布は、津軽海峡の南北でだいぶ異なる。「ブラキストン・ライン」と呼ばれる境界線である▼氷河期が過ぎて温暖になると、大陸の氷が溶けて海水面が上昇。およそ1万8千年前という津軽海峡の成立によって、生き物はそれぞれの環境に適応しながら命をつなぎ、独自の進化を遂げたとされる▼ブラキストンは英国人の学者。1863年に函館に移り住み、約20年にわたって鳥類を中心に生態を調査した。研究の成果と地質的な歴史を踏まえ、北海道と本州の動物相の違いを指摘。学界にその名を遺(のこ)した▼軍人、貿易商、探検家とさまざまな顔を持っていた。諸説あるが、日本で初めてスケートをした人物とも。それは移住の2年前、初めて函館を訪れた際のクリスマス。きょうは「スケートの日」でもあるらしい▼身近なウインタースポーツではあるが、滑りの原理に定説はない。刃の圧力による氷の融解、刃と氷の摩擦による融解、氷表面にある水分子の作用…。謎を解明できたら、交通事故や自然災害への対応にも役立つ大発見である▼学校は冬休み。大いにスケートを楽しみたい。そんな子どもたちの中から、世界に羽ばたく選手、世界を驚かせる科学者が生まれてくれたら。まさに「氷都・八戸」の面目躍如である。