【連載・世界のJOMONへ】第5部(5・完)悲願

世界遺産登録に向け、機運を高める活動が活発化している(写真はコラージュ。是川縄文館の勾玉作り体験(上)と御所野縄文公園で行われたリレーマラソン) 
世界遺産登録に向け、機運を高める活動が活発化している(写真はコラージュ。是川縄文館の勾玉作り体験(上)と御所野縄文公園で行われたリレーマラソン) 
2005年に青森県の三村申吾知事が縄文遺跡群で世界遺産登録を目指すと表明してから15年。同遺跡群が09年に文化庁の「暫定一覧表」にリスト入りしてから、5年連続で国内推薦が見送られ、18年には自然遺産候補を優先的に審査するという国連教育科学文.....
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 2005年に青森県の三村申吾知事が縄文遺跡群で世界遺産登録を目指すと表明してから15年。同遺跡群が09年に文化庁の「暫定一覧表」にリスト入りしてから、5年連続で国内推薦が見送られ、18年には自然遺産候補を優先的に審査するという国連教育科学文化機関(ユネスコ)の方針によりさらに1年足踏み。世界遺産登録への道は苦難と挑戦の歴史であり、今では関係者のみならず、多くの県民の悲願となっている。そして今、国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査を終え、来夏の審査を待つところまでたどり着いた。[br][br] 長年にわたる挑戦の中で、関係自治体は機運醸成を目的としたイベントを継続的に開いてきた。いよいよ迫る登録を見据え、住民レベルでも遺跡の価値を発信したり、盛り上がりを喚起したりする取り組みが加速している。[br][br] 一戸町の御所野遺跡は、縄文をもっと身近に感じてもらうことを目的に、10月30日から11月8日まで「縄文ウイーク」と題して各種イベントを展開。その一環でリレーマラソンを開き、参加者約280人が御所野縄文公園内を縄文縄をたすきにしてリレーし、大いに盛り上がった。[br][br] 御所野縄文博物館の高田和徳館長は「地域で盛り上げるというのは、遺跡を起爆剤として新たな地域文化をつくること。縄文に興味がある、ないにかかわらず、遺跡を軸に住民がつながっていくのが大切だ」と強調する。[br][br] 今年、発掘100周年を迎えた八戸市の是川遺跡。1920年11月に泉山斐次郎(あやじろう)が最初の発掘を行い、義兄の岩次郎も協力したことから、今年、11月3日(文化の日)を「是川縄文の日」に設定。市埋蔵文化財センター是川縄文館が無料開放され、多くの親子連れなどでにぎわった。[br][br] 地域住民の取り組みも活発化している。是川遺跡に近い、青森県立八戸商業高の生徒が縄文をテーマに課題研究に取り組んだほか、是川団地町内連合会が是川中央公園にある壁面に縄文をモチーフにしたアートを描くなど、登録に向けた機運が高まっている。[br][br] 同館の小久保拓也主幹は「縄文は八戸地域のアイデンティティーになると信じている。活発な取り組みは行政だけでは限界があり、地域住民と一緒に遺跡を守っていきたい」と住民参加の重要性を指摘する。[br][br] 「泉山兄弟がずっと守ってきた宝を未来に引き継いでいきたい」と話すのは工藤朗館長。「世界の『JOMON』として国内外の人に人類共通の宝を知ってほしい。そしてその価値を次の世代に伝えていきたい」と、来年を待ちわびる。世界遺産登録に向け、機運を高める活動が活発化している(写真はコラージュ。是川縄文館の勾玉作り体験(上)と御所野縄文公園で行われたリレーマラソン)