天鐘(12月21日)

今日は1年で最も昼が短い冬至。植物が枯れ、動物は冬眠して生命の恵みにありつけない。生活の全てを自然に委ねていた縄文人は今頃、不安の真っ只中にいたのでは―▼季節の移ろいを感じ損ねたら命にかかわる。そこで太陽の位置から春分、夏至、秋分、冬至の「.....
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 今日は1年で最も昼が短い冬至。植物が枯れ、動物は冬眠して生命の恵みにありつけない。生活の全てを自然に委ねていた縄文人は今頃、不安の真っ只中にいたのでは―▼季節の移ろいを感じ損ねたら命にかかわる。そこで太陽の位置から春分、夏至、秋分、冬至の「二至二分(にしにぶん)」を読み取ろうとしたのが、三内丸山遺跡の大型掘立柱(ほったてばしら)建物や大湯遺跡(秋田県鹿角市)の環状列石だ▼自然の変化を月の満ち欠けや天体の運行に重ねて熟知。「季節に応じた動植物の採取や狩猟の時期を取り込んだ“縄文カレンダー”を持って計画的な労働に勤(いそ)しんでいた」(小林達雄著『縄文人の世界』)という▼中国の太陰暦では冬至が暦の基点。太陽の力が最も弱まり、同時にこの日を境に再び甦(よみがえ)る。月なら新月で19年に1度、冬至と新月の吉事が重なる「朔旦(さくたん)冬至」が巡ってくる。古(いにしえ)から盛大な祝宴が催されてきた▼冬が去って春が来ることを「一陽来復」という。陰が去り陽が戻って来る冬至を指し、運気が上昇に転ずる日である。願わくば今日を境に新型コロナの感染拡大が沈静化し、一陽来復の安寧が早く訪れんことを―▼確かに日は長くなるが寒さは厳しさを増す。冬至に欠かせない南瓜(かぼちゃ)はカロテンやビタミンA、小豆粥はビタミンB群を多く含み、柚子(ゆず)湯は抜群の血行促進効果がある。免疫力をつけて年末年始を静かに過ごし、春のワクチンを待ちたい。