【新型コロナ】クラスター経験「ひまわり苑」対応手探り、激励に救われ

市民らから届いた応援メッセージが、対応に追われる職員を励ました=17日、八戸市
市民らから届いた応援メッセージが、対応に追われる職員を励ました=17日、八戸市
新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した八戸市のデイサービスセンター「ひまわり苑」。初動からサービス再開までの2週間余りは、多くの課題を突き付けた。関係者は、未知のウイルスへ手探りで対処せざるを得なかったことを説明。心ない誹謗.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した八戸市のデイサービスセンター「ひまわり苑」。初動からサービス再開までの2週間余りは、多くの課題を突き付けた。関係者は、未知のウイルスへ手探りで対処せざるを得なかったことを説明。心ない誹謗(ひぼう)中傷にも苦しめられながらも、市民からの励ましの声に支えられたと振り返る。[br][br] 市保健所から利用者の感染を知らせる連絡があったのは10月30日だった。不安ばかりがよぎり、これまで感染予防策を徹底してきたつもりだったが、本当にベストだったのか急に心配になったという。関係者は「利用者や家族には不安と不便を掛けてしまったことが本当に申し訳ない」とつらい胸中を明かす。[br][br] すぐにサービスを休止し、全利用者にPCR検査を受けるように電話をした。だが、バスやタクシーなどの公共交通機関は使えず、1人暮らしで交通手段がない利用者や、家族の仕事の都合で検査場所に連れて行けない利用者への対応など問題が次々とのしかかった。施設の車両だけでは送迎が追い付かず、家族や外部のケアマネジャーらに無理を言って対応してもらった。[br][br] 限られた人数で検査対応を急がなければならない中、さらに職員を追い込んだのが、心ない誹謗中傷だった。利用者や家族、保健所との連絡手段は電話しか使えないにもかかわらず、誹謗中傷の電話が鳴りやまず、必要な連絡に支障を来したこともあった。関係者は「職員は利用者への対応で手いっぱいで、車両もマンパワーも足りない状態だった」と話す。[br][br] 一方で、多くの市民や取引のある業者から届いた励ましの手紙やファクスが職員の心を救った。利用者からの再開を待ち望む声も困難を乗り切る原動力になったという。[br][br] 13日には関係者全員の健康観察期間が終了し、保健所や医師のアドバイスを基に、再開に向けて準備を始めた。専門業者による消毒作業のほか、テーブルにはアクリル板を設置。職員全員が消毒液を持ち歩くなどの対策を強化した上で、16日の再開にこぎ着けた。[br][br] 再開後は新たな問題にも直面する。アクリル板越しでは耳が遠い利用者とのコミュニケーションが難しかったり、マスクを着用しながら入浴介助をする職員の熱中症のリスクが高まったりといった課題も出てきた。検査結果が陰性で健康観察が終わったにもかかわらず、医療機関では待合室に入れてもらえないなどの影響もいまだにあるという。[br][br] 関係者は「試行錯誤しながらだが、安心して利用してもらえるように万全を尽くしたい」と強調。「保健所などで今回のことを事例検討してもらい、ほかの事業所と情報共有ができれば」と、この経験を地域全体の感染対策に役立てられることを願う。市民らから届いた応援メッセージが、対応に追われる職員を励ました=17日、八戸市